牛河内由樹 

デザイナーになりたいというよりは、デザイン的思考を使いながら自然に携わるみたいな、そんなことがしたいです。まだぼんやりしています。

鈴木:美大に進んだきっかけを教えてください。

牛河内:小さい頃から絵を描いたりものを作ることが好きで、高校生になってから美大を意識し始めました。なかなか踏み切れずギリギリまで悩み ましたが、最後は勢いで受験しました。

上條:なぜ空間演出デザイン学科を専攻しようと思ったのですか?

牛河内:友達が受けようとしていたので気になって、一緒に武蔵美のオープンキャンパスや芸祭に行きました。その時に空デの作品は特に魅力を感じて、様々な形のデザインを学べると思いました。

鈴木:印象に残っている授業はありますか?

牛河内:模型を本気で作りたくて、3年生の前期にインテリアコースを選択しました。元々インテリアデザインにも興味があったので、インテリアのゼミに入るか迷ったのですが、他にやりたいこともあるので課題に追われる未来が見えて。ジャンルに囚われず伸び伸びやれると思い鈴木ゼミを選びました。

鈴木:やりたいこととは?

牛河内:外部のダンスサークルに所属しているのですが、そのサークルが毎年行なっているダンス公演の演出を担当することになったので、本番は12月ですが今から準備をしています。振付ではなく、舞台セットや照明やストーリーなどの演出を、プロの方たちと一緒にやっていきます。インプットとアウトプットが同時にできる良い機会だと思いました。

鈴木:リーダーシップを取りたい気持ちがあるのでしょうか。

牛河内:引っ張っていきたいというのは大袈裟ですが、演出面は積極的に携わりたいと思いました。他人の演出したものだと、自分ならこうするのに…と思ってしまう気がして、だったら自分がやろうと決めました。

上條:他人の作品を見てそう思うことは重要ですね。それは美術の領域でも、作品を見て思いますか?

牛河内:そこまで思わないです。授業の講評や展示会で他人の作品を見ていると、色々な感性があるなあと毎度圧倒されます。気後れして、自分がおかしいのかなとか考えてしまいます。

上條:外部だから発揮しやすいというのはあるのかもしれませんね。将来はどんなことをしたいですか?

牛河内:まだあやふやですが、最近思うのは自然が好きということです。山や海や風を感じるもの、空模様や水の動きなどを収めた写真や、畑の野菜や花にも無条件に愛着が湧きます。デザイナーになりたいというよりは、デザイン的思考を使いながら自然に携わるみたいな、そんなことがしたいです。まだぼんやりしています。

鈴木:デザインという考え方は色々あって、農業もデザインと言っていいし、野菜をどのようなかたちで届けるかなどもデザインです。自然といっても様々な自然のとらえ方があります。今のままでは曖昧なので解像度を上げたいですね、そのためにゼミという場を良いように使ってほしいです。

上條:課題が多いゼミは鍛えられるし、安心して集中して取り組めるの で、自由を獲得する作業の一つにもなります。一方鈴木ゼミの活動は、課題が少なく自由に思える分、自分次第になります。だからこそ、外部や個 人で活動していることとゼミの中でやることを分けずに考えるべきです。ダンスや自然に触れて身についたデザイン的思考をヒントにゼミでも何かできたら良いですね。

MY DESIGN HISTORY 牛河内由樹

鈴木:ゼミ展に出品した作品について教えてください。

牛河内:水面をただそのまま作品にするのではなく別の形で表現しようと考え、全く違う素材で立体作品を作りました。アルミ蒸着フィルムは光に当たるとキラキラ輝いて反射するので、水面に似ています。あまり考えられずに焦って手を動かし始めたので、コンセプトもはっきりせず自分の中では未完成の作品となってしまいました。

上條:ゼミ展ではアルミ蒸着フィルムを使いましたが、他に今、気になる素材はありますか?

牛河内:刺繍に興味が湧いて道具を集め始めたところです。どんな刺繍をしたいかなどはまだ明確にはありません。

鈴木:刺繍というと小さい子が胸につけているようなものだけではなく、絵画のようなことをする人など、さまざまな事例がありますよね。

上條:何かをやろうと思ったときに、前例をを知るか知らないかって大きな違いです。様々な刺繍に会って、その上で、私の刺繍って何なんだろうと考えていくと良いです。ちょっと触れてまた違う素材に移るのではなく、ここまでやったけど別の素材がいいかなと思ったら移る、そうやって素材や手法をひとつずつ明らかにしていけると良いですね。

牛河内:今はまず、刺繍と自然を結びつけて考えて、納得いくまでやり進めてみます。他に興味が湧いたことがあればまたゼミに繋げながら取り組んで、自分がやりたいことの解像度を高められる1年間にしたいです。