宮本日向子×鈴木伊柔

空デは、変化に対して柔軟に対応することができる感じがする。私たちは、悩みもそうだし人間関係もそうだし日々変化してるし、それが作品として表現しやすい環境だと思う。(宮本) 空デって次の日に全然違うことをやってもなんの文句も言われないみたいなところあるね。(鈴木)

宮本:出身は台湾?

鈴木:お父さんが台湾人で、6歳まで台湾にいたんだけど、最近面白いなって思う話があって。たまたまなんだけど、「台湾汚いよ、臭い」っていう会話が聞こえて(笑)。 私は幼少期からそこに住んでいたからそう思ったことがなかった。自分にとって当たり前のことがそうではないっていうことが客観的に知れて、自分では一生気が付かなかったことに気がつけて興味深いなって。

鈴木:日向子ちゃんは?

宮本:徳島県。中2くらいから東京に憧れてた。東京って付くモノ、東京事変とか東京カランコロンとか、東京集めてた。美術館とか舞台も少ないし、近所の噂があっという間に広がるような、狭い”近所感”が苦手だった。

鈴木:東京に来てみてどう?

宮本:やっぱり徳島とは全然違ってて。生きるのがすごく楽。もともと武蔵美に入学した時はテレビに携わる仕事で、セットを場面転換したりする仕事に魅力を感じていて、空デのセノグラフィをやりたいなと思ってたけど、2年生の時に舞台制作のインターンに行って、舞台を作る側を体験してみて、私は観る方が好きなんだなって思った。

MY DESIGN HISTORY 宮本日向子

鈴木:就職のこととかは考えてる?

宮本:やっぱり演劇は好きだし関わりたくて、広告やポスターのグラフィックデザインで演劇に携わりたいなって考えてる。だけど平面だけではなくて立体も作りたい気持ちがあって、今ははっきりと決まってないんだよね。

鈴木:将来のこと、はっきり決めるの難しいよね。バイト先のトリマーさんに学校に入り直そうと思ってるんですって言ったら、もったいないねって言われて。もったいないんだ、無駄なことだったのかなと思って。私は、そう思ってなかったから、そこで今も葛藤してます。

宮本:でも、両方経験できる人ってなかなかいないから、そこでムサビの力を使えることは、いくらでもあるんじゃないかって思う。

鈴木:確かに。仕事することと制作することは必ずしも同じではないもんね。仕事だけが全てじゃないと言うか。今やりたいこととかある?

宮本:私、大きいものを作ってみたい。既製品を組み合わせたりして…。あと、アトリエ借りて、オープンスペースみたいにしたい。

鈴木:わかる。アトリエほしいよね。油絵学科とかは一人一人スペースがあって、それこそオープンスペースみたいに使ってるよね。油絵に仲良い子がいるからアトリエお邪魔したりするけど、いろんな人が自然と集まってくるからすごいいいなって思う。

宮本:空デにもアトリエほしいよね…そういう、まだ喋ったことのないムサビ生と出会って、美術とか作品のこととかもそうだし、悩みとか将来のこととか、気軽に集まれて話せるスペースを作りたいです。出会いも含めてムサビにきていると思ってるから。

MY DESIGN HISTORY 鈴木伊柔

鈴木:卒制についてなんか考えてる?

宮本:具体的にはまだ考えられてないけど、自分ごとで終わる作品じゃなくて、社会的な問題提起ができるような作品を作りたいな…ってぼんやり考えてる。空デの卒制ってとても自由だよね。

鈴木:確かに、油絵学科とかだとほとんどの人が絵を描いてるけど、空デって次の部屋にいったら何があるかわからないみたいな感じだよね。空デって次の日に全然違うことをやってもなんの文句も言われないみたいなところあるね。

宮本:そうだね。空デは、変化に対して柔軟に対応することができる感じがする。私たちは、悩みもそうだし人間関係もそうだし日々変化してるし、それが作品として表現しやすい環境だと思う。

鈴木:素材とかコンセプトとか制作するごとに変えていくことができるのが空デの面白いところかも。