松永こころ×柳愛美 

可愛さってなんだろうなと。手触りなのかとか、中に入っているものはそんなに重要ではなかったのかなとか。生物と非生物であるという決定的な違いはあるけれど、人間が見て、触って可愛いって思う物の定義って意外と残酷なのかもしれないと思って。

柳:なぜ美大への進学を決めたのかと、空デを選んだのかを教えてください。

松永:はい。最初は理系に行く予定で中学受験をしたんですけど、小学1年生の頃から通っているアトリエによく美大の先輩が遊びにきていて、彼らの話を聞くうちに美大って楽しそうだなと思い進学を決めました。空デを選んだ理由はそんなに深いものではなく、オープンキャンパスなどで授業内容に興味を持ったからです。

柳:鈴木ゼミを選んだ理由やきっかけはなんですか?

松永:えっと、セノグラフィやインテリアなど色んな分野を学んだけど、めちゃくちゃやりたいってことをまだ見つけられてなくて、それを探すことができるんじゃないかと思い鈴木ゼミを選びました。

柳:ではMY DESIGN HISTORYを描いてみてどのようなことを考えましたか?

松永:あの〜、基本的に動物ものが好きだという…(笑)。見てもらえばああって感じだと思うんですけど、なんかすごく動物に惹かれているということに改めて気づきました。

柳:確かに半分くらい動物…特にこれ、伊藤若冲がすごく気になるんですけど、どういうきっかけで?

松永:実はあまりきっかけを覚えてないんですけど確かテレビで見たんだと思います。その絵を見た時すごく感銘を受けて…というのもやっぱり動物をたくさん描いてるじゃないですか。特に鶏の絵に惹かれて、今まで鳥という動物に馴染みがなくて特別好きでもなかったのに、影響を受けて一時期鶏を描きまくってた時期があります。

柳:鶏にハマってる時期が?

松永:そう!小学生くらいの時は魚の鯉を描くのにハマってました。

柳:鶏はどのくらいの時期?

松永:中学生くらい。伊藤若冲に出会ったのもそのくらいです。

柳:教科書によく載ってたりしますよね。

松永:そうそう!美術の授業の好きな画家を紹介するという課題で、彼を取り上げたりしました。300年生誕祭の時は美術展にも行ったんですけど、めちゃくちゃ並んでましたね。待ち時間に映画が2本くらい見れました。

柳:ディズニーランドみたい…見るのに集中できなかったのでは?

松永:入った中もすっごく混んでて、ずっと満員電車みたいでした。でもせっかく来たんだし頑張って見ましたよ。

MY DESIGN HISTORY 松永こころ

鈴木:絵自体は変わらないけど興味を持って見ている人は時代ごとに変わるから、それを観察するのも面白いですよ。現代人が若冲を見てどう思うのかを知るという意味では、そういう混んでる時もいい。並んでる時間が長いことって世の中に色々あると思うけど、美術展の過ごし方のヒントになると思う。

柳:確かにそう考えると長い待ち時間も飽きないで過ごすこともできそうですね。

鈴木:他に動物…ゼミ展の時も動物を題材にしてましたね。動物に関して何か聞いてみたいです。

柳:そうですね。ワンタメミュージックチャンネルとか、懐かしいと思ったのはぷくぷく天然かいらんばんとか、あと愛犬のぴのこちゃんとか犬の割合が結構高いのが気になりました。

松永:犬は一番身近な生き物なので。愛犬は小学校一年生の時に自分のお小遣いで買って…。

柳:えっ!?お小遣いで犬を?すごいね。

鈴木:犬って、買うとどのくらいするの?

松永:血統書なしで買ったので6万くらいです。今は柴犬って凄く人気で値段も上がってるんですけど、当時は今ほど高くなかったんです。サンタさんにお願いするくらい欲しくてしょうがなかったんですよ。

柳:実家にいるってことは最近なかなか会えてない?

松永:うん、帰ったら会うって感じ。このぴのこを historyに入れてるのは小学生の時はどんな作品もひたすらこの子をモチーフに作ってたからなんです。絵を描くにも粘土をこねるにもこの子。だから犬が一番身近な動物に感じていて、一通り犬に関するコンテンツに手を出してたんですよ。

柳:奥深いね。生き物を買おうって思ったこと一度もないです。住んでるとこが田舎なのでお金出して何かを買おうって発想が新鮮なのかも。

鈴木:なるほどね。犬についてもうちょっと深掘りしたいな。アニメーションとかキャラクターは人が作ったものでしょ?でも犬は人がつくったものじゃないでしょ?犬が可愛いとか恐いとか人間に対しての犬という存在があってそれがキャラクター化されてるわけでしょ?現実のものを別のものに置き換えて人の世界を作ってるわけですね。それは、自然との向き合い方かもしれないし動物との向き合いかもしれない。結果として人間そのものを知るってことかもしれない。松永さんのMY DESIGN HISTORYを見ると犬がそれをつなげてくれてるのかなって。

松永:そうなんですかね?個人的に動物の中で犬ってそんなに特別なものじゃないんですよ。特別好きなわけじゃなくて、どっちかというと猫の方が満遍なく好きです。犬は犬種によります。

鈴木:そっか。特別じゃないってのは何かいいですね。

柳:衝撃です、猫の方が好きっていうのが。

松永:猫はあんまり詳しくないからなんですよ、やっぱり犬を選り好みするのはそれだけ触れ合ってきたからだと思います。小さい頃から動物園のふれあいパークとかでさんざん犬触ってましたし。

柳:じゃあ、他に自分が好きな動物について何か感じていることとかありますか?

松永:これはおそらくすりこみもあるんですけど、一番好きな動物は虎なんです。寅年だから生まれた時にみんな虎のぬいぐるみをくれたんですよ。私左利きなので左手でずっとそのぬいぐるみを離さずに持ってたみたいです。まだ実家にあるんですけど使い古してしおしおになったトラさんってぬいぐるみをどこへ行くにも持っていってました。でもなんで好きかって言われると…ライオンよりは虎ですけどね。トラさんの他にもヒョウさんとライオンさんっていうトリオのぬいぐるみたちを可愛がってたので、基本的に猛獣が好きなんです。海だとシャチが一番ですね。よく狩りのシーンを見ます。動物が動物を狩るシーンを見るのが好きなんですよ。

柳:集団で狩りをしたりするやつ?

松永:あ、そう!シャチはまさしくそれで初めて見た時感動しました。本当に賢くて集団で戦術的に獲物を襲うんです。尻尾でアザラシの息の根を止めて子供に狩りの練習をさせたりするんですよ。

鈴木:アザラシ狩るんだ。かわいそう。

松永:かわいそうって思う人も多いんですけど、私はすごく好きで。狩る側はもちろん、狩られる側も生き抜くために色んな工夫をしてて、生命のエネルギーを感じるんですよ。例えば、チーターなんかもトップスピードを保てるたった一瞬に命をかける、狩る側もこの獲物を逃したら餓死するってくらい極限な状況で狩りをするんです。

鈴木:確かに凄くエネルギーを感じるよね。身近な蚊ですら叩かれたらそれで終わりだし。

松永:私たちが当たり前にしている食事が常に命がけなんですよね。

鈴木:柳さんは松永さんのMY DESIGN HISTORYについて他に気になることはないですか?

柳:そうですね、徳田有希さん…知らなくて調べたんですけど、一つ知ってるツイートがありました。枝豆をリアルに描いてるやつ。

松永:最近は写実画をたくさん描かれてますね。私が知ったのは確か高校生の頃で、絵柄に影響を受けました。世界観が好きで似たようなイラストを描いていましたね。空にクラゲが泳いでるとか海に星があるとか幻想的なものが好きで、徳田有希さんはそういう雰囲気のイラストを描いているんです。

柳:好みと徳田さんの作品が一致したって感じですね。

松永:そうですね。でも実は私の中では珍しくて、他のものは今でもずっと好きなんですけど、唯一興味が薄れたコンテンツなんです。

柳:なるほど…あ、あと色鉛筆っていうのが気になります。

松永:それは単純に小学生の時色鉛筆で絵を描くことにハマってたんです。色鉛筆って子供にとっては陳腐なもので簡単に手にとって描きやすいじゃないですか。

柳: 確かに絵の具とかより敷居が低い。

松永:そうそう、だから少し軽視してたんですよ、色鉛筆でかける範囲なんてたかが知れてるって。でも、色鉛筆作家の方とかの絵を見て、え、色鉛筆でこんな絵が描けるの!?って衝撃を受けたんです。凄く綺麗で色鉛筆の可能性を感じたので、色鉛筆に凝って絵を描いてた時期があるんです。

柳:凄くいいことですね、確かに私も子供の頃は色鉛筆でそんな大作は描けないって決めつけていたかもしれません。

松永:子供の使うものと思いがちだけどそんなことないんですよね。

柳:そうですね。それと小学校1年生からアトリエに通ってるっていうのにびっくりしました。

松永:あ〜、でも想像してるようなのとはきっと違うと思います。受験もここで見てもらってたけど、基本的には本当に自由な教室。絵を学ぶっていうか考え方を養う感じかな。この中でも一番影響を受けてて、ここで育ったって言っても過言じゃないです。アトリエの先生は凄く変わった人で、歳取らないから魔女って言われてます。

柳:先生は優しい感じ?

松永:うん、優しいけど不思議な人だから説明するのが難しい…いつまでも少女のようだけど先見的な目を持つ感性の鋭い人でもあって。「私はみんなに絵を教えてるんじゃなくて直感力を鍛えてるの」っていうのがポリシーみたいだったから、スピリチュアルなことを大切にしてた…本当に魔女みたいな人ですね。

柳:精神を育てた場みたいな。

松永: 確かに精神や哲学について学んだかもしれない。あとここに通う人はみんな家族みたいな感じだから凄くアットホームで、受験期は3歳の女の子に折り紙教えてもらいながらデッサンしたりしてました。

柳:凄く精神衛生上良さそうですね…貴重な経験だと思います。羨ましい。

鈴木:じゃあそろそろこれからどんなことをしていきたいかという話を。

松永:私はMY DESIGN HISTORYを描いて凄く動物に影響を受けてることを改めて認識したので、動物に焦点を当ててZINEを作ってみました。そこから自分が昔から持っているなんの変哲も無いと思っていた感性を利用して今作品を作ることができるということを知って、同じように過去に影響を受けたものを形にしていきたいと考えています。

松永:柳さんはなぜ美大への進学を決めたのか、空デを選んだのかを教えてください。

柳:小さい頃から、絵を描く事や物を作る事が好きでしたが、進学系の高校に入学してから暫く経つまで何となく自分の中で「自分は普通の(文系の学部)大学に進学するだろう」というイメージを持ち続けていました。高校1年生の夏休みに、『自分の行きたい大学のオープンキャンパスに行きなさい』という課題が出てもやはり美大という選択が出てきませんでした。高校では美術の授業がなく、1年生だけが土曜日に希望制で受けられる月に2回ほどのクラブ活動のような特別授業で油絵の授業をとり、そこで芸大の油画出身の先生に出会い、大学に対する漠然としたイメージが「文系の学部」から「美術に関する事が学べる大学」に変化していきました。その後2年生の夏休みに美術系の大学のオープンキャンパスへ行き、秋にはムサビの芸祭を訪れて徐々に美大進学の意思が固まっていきました。受験対策として予備校に通う際に、ファインアート系かデザイン系どちらかに決めなければいけない事になり「物を作る方が面白そう」という理由でデザイン系の学科受験を決め、更にデザイン系の学科の中でも対策の内容が違う事から、工芸や立体物のデザインに造詣の深い学科にしようと思い、空デを受験しました。ちょうどその頃、実家の建替えをしていて、空間について学べる学科にも興味が湧いてきた事も理由の一つになるかなと思います。

松永:鈴木ゼミを選んだ理由やきっかけはなんですか?

柳:空デで実際に過ごす中で、自分が一番に取り組みたい事を決める事ができなかったからです。ファッションやインテリア、セノグラフィ、どの表現の分野にも自分が属していないのではないか、と感じていました。環境デザインでは、あまり決まった手段での表現がなく、これから自分が思う表現の方法がどんなものでも気兼ねなく取り組めそうだと思ったので、鈴木ゼミに決めました。

松永: MY DESIGN HISTORYではみんなの中で唯一自分の服装の変化について描いてるのが気になりました!

柳:影響を受けた作品の絵を描こともできたのですが、そうすると書ける作品数が少なくなってしまうなと思って。あと単純に似せて描く自信がなかったのもあります。その点自分の姿なら、どんな風に描いても被害を受けるのは自分だけなので。あと自分の姿の変容を改めて描くことによって、見えてくるものがあるかもしれない、という考えもあって描き起こしました。でも最終的に影響を受けたものを絞れなかったことに一番の原因があります。好きな物の系統がバラバラで収拾することが出来なかったんです。

MY DESIGN HISTORY 桺 愛美

鈴木:でも女の子にとって着ていた服を思い出して描くって作業は簡単なこと?

柳:いや、これは写真を見て描きました。細部までは思い出せないので(笑)。小学生の頃の修学旅行や、校外学習の写真なんかを見ると、やっぱり特別なイベントなのでその時に気に入っていた服をよく選んで着ているんですよね。中学生になってしまうとあまり私服の写真が残っていないので、記憶で描きました。

松永:幼少期の全身ピンクから青系の服装になった、というのはなぜ?

柳:この頃は親が服を全て揃えていたので、ピンクや赤系の色の服ばかり着ていました。当時の写真を見返していると、どの写真もピンクの服を着ているんです。靴からコートまでピンク、というのもあって(笑)。親から聞いたところ、大きくなったらピンク色の服を着てくれなくなるから今のうちにたくさん着させておこう!みたいな考えもやはりあったみたいです。

鈴木:でも親はねピンク×ピンクとか避けると思うな。だからそうしたのは自分だと思う。

柳:まあ確かに親が買ってきたものの中から自分で選んだ結果ピンクになってるのかな、とは…。

鈴木:選択肢の中にピンクの比重が多かったんだろうね、ピンク人気だし。

松永:私は全然ピンクに縁がなかったなぁ。あと、柳さんいつもスカートを履いてるイメージだったので、ズボンばかり履いてたことが意外でした。

柳:流行りやお店の系統もあったと思うのですが、中学生の頃に洋服を買っていたお店には丈の短いスカートばかり置いてあったんです。私はできるだけ足を隠していたくてズボンばかり履いていました。単純に短いスカートは、寒いですし。見た目と利便性を兼ね揃えていたのが、ズボンだったんです。高校生の頃も長めのチュニックにズボン、みたいな格好を好んでしていました。自分の足が太いと思っていた事が根底にあったんだと思います。足を露出することに抵抗を感じていたので、夏でも半ズボンを履きたくなかった。今ではそんなでもないので、思春期特有の自分の体に対する悩みというか。当時はあまり自覚していなかったのですが、こうやって振り返ると悩んでいた事が行動として出ていたんだな、と。

鈴木:なるほど。改めて柳さんと松永さんのデザイン史を見比べてみると影響を受けてるものが重なってますね。パンダコパンダとか。

柳:時代背景が同じなので、同じものを目にする機会が多かったんじゃないかなと思います。でも表の途中から、時代背景とは逆行したものを好きになっていく時期があって。中学生の頃からです、同世代の友達と話が合わなくなっていきました。だから先生と話をしたりとか。

鈴木:そのきっかけはどんなことで?

柳:きっかけは職業体験で図書館に行ったことで、もともと図書館に行く習慣が無かったのですが、職業体験から図書館の仕組みを知って、職業体験が終わった後も本を借りに何回か図書館に行く事がありまして。その時になんとなく表紙が綺麗だなと手に取ったのが『竹宮惠子のマンガ教室』という本でした。今はもう絶版の本ですが、本当に絵が綺麗で白い紙に黒のインクで、こんなに表現ができるのか!という感銘を受けて(笑)本の中で引用されている作品が、MY DESIGN HISTORYの中に書いた『風と木の詩』で、これも竹宮惠子先生の作品で。読んでみたい!と思って本屋に行ったら置いてなくて。取り寄せてもらいました。この時「本屋さんって並んでる本以外の本も買えるんだな」って思いました。この時はマイナーな作品だと思っていたのですが、そんな事はなく(笑)。とても有名な作品だったのです。この時は純粋に、古いものが新しく見えた時期でもあって、今でもそうですけど。

鈴木:そういうことっていくらでもあるよ!やっぱり大学生くらいの時に経験するんだろうね、自分もそうだったけど。古本屋の方が新しく感じることも。ロングセラーや売れ筋しか扱っててない書店は、与えられた世界で、古本屋は自分で見つける世界だから。

柳:そうですね、古本屋にも行っていました。身近に流行っているものより、昔流行っていたものの方が、見つけた時の感動が大きいように思えるというか。『風と木の詩』は本当に、いま思い返すとちょっと子供に読ませたくないというか、びっくりしちゃう様な、哲学的な内容が色濃い作品でした。5巻辺りから読んでいて本当に辛くて、泣きながら読んでいました。夜中の2時くらいまで読んでいた日もあって(笑)。翌日見事に顔が腫れ上がって、クラスの子に「顔、どうしたの?」と言われてしまった思い出があります。流石に漫画読んで泣いていましたとも言いづらくて、「え、そう?」と言ってその場をしのぎました。今でも大好きな作品です。『竹宮惠子のマンガ教室』も本屋で注文しようとしたら「その本はもう売ってないみたいです」と言われ、本ってすぐに売らなくなっちゃうんだ!と。作品の儚さを学んだきっかけにもなりました。その後Amazonでなんとか古本を見つけて購入できたのですが、古本も品薄で。元々盛んに流通している本ではなかったのかなと。その中で図書館に入っていたこと、巡り合えたことがよかったなと。偶然性を感じます。今では復刊が盛んに行われていたりするので、そういうのを利用したりもします。この頃は『ポーの一族』とか『エースをねらえ!』なんかも読んでいました。父が少女漫画をよく読んでいた事もあって…。

鈴木:少女漫画を読むお父さん?

柳:結構読んでましたね、『カードキャプターさくら』も父が全巻揃えて買ってきたり。

鈴木:それは凄く羨ましがられそうなお父さんだね。

松永:いいなぁ!本当に羨ましいです。本以外だとクマのぬいぐるみの存在が気になるんだけど、聞いていいですか?

柳:それは、おそらく家族旅行で那須の『テディベアミュージアム』というところによく訪れた事が発端かなと。福島への旅行の日に、ハイキングの予定だったけど天気に恵まれなかったとか、そう行った理由でよく連れて行ってもらっていたんです。最初は普通のサイズのクマのぬいぐるみを買ってもらって。その後に同じシリーズの、更に巨大なぬいぐるみが欲しくてお年玉を使い買ってもらいました。それが印象的で。母ももともとぬいぐるみが好きで。子供の頃は、よくぬいぐるみを小脇に抱えている事が多くて。いつも必ず同じぬいぐるみだったわけではなく、時と共に変遷があって。その元になったのが、テディベアミュージアムで最初に買ってもらったぬいぐるみだなあと思って、書いたんです。最近、ぬいぐるみについて思う事があって。解剖学でネズミを解剖した時に、物の可愛さというかなんだかんだ手触りに落ち着くというか、あの毛皮の手触りと見た目の顔の愛くるしさとかで「かわいいな」と思うけど、中を抜いた時にぬいぐるみは綿で、生き物は脂肪や筋肉に包まれた内臓とかが出でくる。抜いた後の皮の形状が、ぬいぐるみと本物の皮との見た目にそんなに大きな違いがないことに気が付いて。そして剥製をつくる際に皮の中に詰めたものが綿で。その時ぬいぐるみという存在はなんなんだろうと思ったんです。可愛さってなんだろうなと。手触りなのかとか、中に入っているものはそんなに重要ではなかったのかなとか。生物と非生物であるという決定的な違いはあるけれど、人間が見て、触って可愛いって思う物の定義って意外と残酷なのかもしれないと思って。解剖の時に、皮を剥いでそんなことをしみじみと考えてしまって。なんなんだろう、ぬいぐるみって。ペットって。可愛いと思ってるものって何なんだろうなと思いました。

鈴木:これからどんなことをしていきたいですか?

柳: 解剖学で感じた疑問というか、ぬいぐるみと動物とかの可愛さについて、何か作品としてでもいいし、何かしらのアウトプットをして、自分の中で感じたことの整理ができたらいいなと思っています。授業中でも出てきた、人形はただの物だけど、蔑ろに扱う事はできないという話も聞いて、物なのに物じゃないふうに見てしまう、その感覚を掘り下げていきたいなと。それを形として何か残せたらいいなと考えています。あとはできたらでいいのですが、短編のアニメーションを作って見たいなあという願望があります。今の所はその二つですね!