吉田萌
『スティルライフ』
3人の俳優
解体と建築を繰り返す街の、なにかがいたはずの無数の層のようなもの。推移し続ける生き物であるわたしたちは、層のひとつに過ぎない面を遮蔽しながら、次の面のあらわれへと動きつづける。しかしその面が受けていた光のことを、おぼえていたいとおもう。
─卒業制作にはどんなテーマで取り組みましたか?
わたしたちは忘れ、それゆえに想起し、新たに環境と出会っていく。家と実家が年々べつのものになっていくこと、老いゆく祖母の引っ越しと卒業するわたしの引っ越しが重なる。この部屋に前住んでいたひと、次に住むひと。すべてのよろこびを知ったのがこの家だとして、それはどこにいくのか。解体と建築を繰り返す街の、なにかがいたはずの無数の層のようなものに思いを巡らせながら、固有の身体が抱え持つモノローグをいかに環境化していけるかについて考えていました。
─制作を通して気づいたことや変化はありましたか?
なにかに気づくにはまだ時間がかかりそうです。ただ、たしかになにかをつくった手触りはあります。またなにかをつくろうと思える手触りです。
─これからどんなことに取り組んでいきたいですか?
生きるからには、よりよく生きたいです。持たざるを得ない身体と試行錯誤します。
─鈴木ゼミで学んだことはなんですか?
ゼミ室に入るとまず、今日は椅子をどこに置こうかと考えていました。その日、耳を傾ける深度や拾い上げる速度、過ごす身体の状態に重要な関わりがあるように思えたからです。ゼミでの課題もすべて、そのようにして、じぶんが心地よく過ごす日なたをさがしあてるようなことだったと思います。日なたの発見をにこやかに見ていてくれるひとがいること、また、ひとの日なたを眺めることの豊かさを知りました。
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