中井川雛子
『Specimens』
木材、プロジェクター、布
入れ替わりの多いベンチという空間。腰をかける人たちは木で休む虫のようであると感じた。虫にたくさんの種類があるように、人の生態もまたとても多様であった。その時だけの人間というものを名前をつけて残そうと思う。
─卒業制作にはどんなテーマで取り組みましたか?
「人が存在していることの特別感」というものの表現を試みました。常に目を向けるわけではない他人を観察し、スケッチというメディアを通して個人がわからないよう存在を曖昧にすることで、誰でもないその人がそこにいたという尊さを表現しました。
─制作を通して気づいたことや変化はありましたか?
自分のアウトプットというものに常に悩んでいた四年間でしたが、自分が見ている世界に一番近い形を表現できたように思いました。
制作していく中で、信頼のおける人たちとの会話を重ねながら自分がどのような人間なのかを認識し、今の自分を認めていく過程が一番価値のある時間であったと感じました。
そしてそのような経験から、誰にどう見られたいかなどに縛られ過ぎず、これからの自分の表現の第一歩になるような作品になったと思います。
─これからどんなことに取り組んでいきたいですか?
まだまだ自分の表現というものが確立していないので、たくさんのインプットを得てありのままのスタイルを完成させたいと思っています。
これから学生という期間が終わり社会人として生きていきますが、学ぶことを決して諦めず何歳になっても自分が惹かれるものに常に向き合っていたいです。
─鈴木ゼミで学んだことはなんですか?
私の卒業制作のテーマにもなった、「そこに人がいる尊さ」というものをゼミの中で強く感じました。コミュニケーションは共感だけではなく反対意見があり、いろんな角度からの見方があって成り立っていることを学びました。