渡辺美萌
『人影を求めて』
布
コロナ禍である今、他者と関わる機会が減り人の存在を求めあえて人のいる場所に出向く。
その先にある人々の何気ない仕草や行動を見つけてはとても愛おしく感じ、愛おしい瞬間に触れたとき、知らない誰かの一部に触れ、その人と繋がりをもつきっかけが生じるのではないか。
─卒業制作にはどんなテーマで取り組みましたか?
卒業制作は「人」というテーマで取り組みました。その中でも改めて自分自身と向き合うきっかけとなった、コロナ禍での生活に焦点を当てました。家で過ごす時間が増えたことで、あえて外に出向き求めるようになった「誰かの存在」とは何なのかということを探求し制作を進めました。
─制作を通して気づいたことや変化はありましたか?
自分が好きなものは自然と溢れ出るものなんだなと思いました。
制作を進めていく中で人の愛おしさを伝えられるような作品にもしたいと考え、色々な人のしぐさや行動などを断片的に切り取って魅せる方法を取りました。はたして断片だけで自分が感じた愛おしさは伝わるのかと心配していましたが、説明せずとも多くの人がそれらを感じてくれていました。
─これからどんなことに取り組んでいきたいですか?
卒業制作は、自分が得意としていた人のイラストを描くということをさらに探求し、形に表現することができた良いきっかけとなったと思っています。
これからも自分の中で様々な人間のデータをインプットしていきながら、自分にしか描くことができない線を追求し、多様化している現代において社会問題などを絡めたイラストの提示やその展示を続けていきたいです。
─鈴木ゼミで学んだことはなんですか?
色々な価値観を持つ人と交流できたことが大きかったと思います。
ゼミを通して、自分とは一生無縁だろうなという人や、絶対話が合わないだろうなという人と話してみたら面白かったということが多々ありました。普段先入観や偏見を持ってしまい交流せず終わってしまう人がいたりするので、色々な人と会話して様々な視点を知り、視野が広がったのは大きな学びでした。