吉田航×リンシユン
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リン:インスタで見たんだけど、鞄を持った新入生の姿を友達が再現した写真を見て、本当に時間の早さを感じた。吉田くんはどんな気持ちで武蔵美に入ったの?
吉田:武蔵美の教授小竹先生に興味を持って空デを受けたんだけど、武蔵美に入った後、先生は退任になってしまって。でも鈴木ゼミに入ったから、そんなに悔しいという気持ちはないんだよね。
リン:吉田くんは武蔵美に入ったきっかけは?美大に入った理由は何かある?
吉田:僕はまず予備校に入ったのは高校2年生の時くらいで、美大に行くというのは高二の進路指導で決めた。美大に入りたいというのは、高二から思っていたんだけど、月なことじゃないことはその時、はっきり分かってきたんだよね。同じ勉強をそのまま同じように大学へ行ってもやりたくはないし、自分が最後まで頑張れることはなんだろう?ってずっと考えてて、やっぱり絵を描いたり、ものを作っている方が自分に一生頑張れるものだったんだよね。高校で勉強したことを大学に入ったら、また同じことをやらないといけないし、それがやっぱり違うなと思った。それで画塾に行って体験してみたら、絶対こっちの方かな、これならできるという気持ちになった。これからAIが発達して、仕事がなくなるという危機感がシャカ市では起こってて、そういう時に受験だったから、やっぱりこっちの道の方が兆しがあるんじゃないかとかなと感覚的に思っていた。
リン:そうですね。ではその気持ちで大学でやりたいことはある?
吉田:1年生の時、映画を撮ったんだよね。映画サークルでホラー映画を撮った。去年は他の大学の映像制作の授業に参加してたし、撮影は去年やって、今年の3月に行動で上映して、コメントももらった。
リン:じゃあ卒制も映像制作にするの?
吉田:いや、2年生の時の実在実習で作った映像装置に、今も興味があって、これからの卒制でも映像装置を作ろうと考えてる。
リン:今思い出したんだけど、実在実習の時、実際見に行ってた。本当によかったと思って、携帯でスポットライトの使い方はめっちゃいいアイデアだと思った!
吉田:うん、めっちゃいいんだけど、元々こういう映像装置は実際にあって、それを再現するという方法なんだよね。実材実習の時は、新しいモチーフを自分たちで見つけられたから納得のいくものができた。だから、まだ出たことのない手法や作品を考え直して、根本から自分で考案できればいいなと思ってる。でも難しいよね。ほかに見たことない見せ方を発見したい。リンさんは卒制は何か考えてる?
リン:鈴木先生からゼミで何をやりたいか聞かれた時に、私、頭真っ白になった。何がやりたいか全然わからなくて。
吉田:ゼミ展もあるしね。
リン:今までインテリアみたいなものを作って来たから、環境って結構範囲が広いじゃん。
吉田:やりたいことはインテリアなの?リン:先生の方が求めている物ってあると思う。自分のやりたいことを優先させるか、ゼミやコースの特徴を重視するか考えてる。
吉田:これは個人的な興味からなんだけど、そもそもアイディアってどうやって考えてる?
リン:やばい奴に思われるかもしれないけど、私毎回課題に挑む気持ちが違うんだよね。で、必死にやりたい時がたまにあって、その時はめっちゃ情報集めて、調べてリサーチするんだけど、いろいろ見すぎると逆にアイディアが出ない。そうなった時はもう遊ぶ。課題の方に集中しすぎるとアイディアが出ない。だから、課題から一回離れてみて、他のことをやるとアイディアが湧いてくる時があるんだよね。
吉田:なるほど、リサーチして一旦そこから離れてからアイディアを考えるんだね。リサーチはどんな事を調べるの?
リン:リサーチは基本的に作品集を見るかな。するとね、同じ作品を作ってるなって自分で気づくこともある。今は作品を見過ぎて自分が何を作ったらいいのかわからなくなってる。1年の課題の構造的な巣やボディーフォームの課題で同じものばっかり作ってて、見たことある様な作品が多かった。それを見て自分的にはちょっと嫌だった。デザインを真似るだけでも勉強にはなると思うけど、その時は嫌だった。だからみんなとは違うものを作りたいと思ってる。自分の特徴を表すために結構意識してて、だから、卒制はいろんなことをやるより、四年間やってきたことを追求して、同じものや同じ風なスタイルで作品を作った方が、個人的なものを強調できる。やりたいことはインスタレーションかな、これまでインスタレーションのいろんな作品を見たことがあるけど、これまでにない作品を作るのがとても難しい。インスタレーションが美術館で流行っててとても多いけど、その中でまだ出てきてないものを作ることが一番の課題だと思ってる。あと私が留学生だから自分の文化性を作品で出すべきなのか。自分の国の特徴を出した作品を作ってみたら?って友達にも言われるけけど、本当にやりたいこととは違う気がするんだよね。
吉田:そもそも海外の台湾から美大に入った理由は何だったの?
リン:高校は一般の高校でその時はインテリアを学びたいと思ってた。親友がインテリアの専門知識を持っている姿を見て、私も徐々に行きたくなって。高校は進学校で、周りは勉強ばかりしていて、弁護士や医者とかになるような人がたくさんいて、だから先生も厳しく、勉強以外をすることは認めないみたいな性格の学校だった。そこから勉強はやりたくなくなってしまった。中学と高校では美術がなかったし。
吉田:美術なかったの?選択制とかも?
リン:そう。そういう環境だったからこそデザインをやりたいという気持ちが強くなったと思う。学校の勉強してばかりじゃつまんない。あと両親も私のやりたいことを優先的に考えてくれた。そんなことがあって美大に行きたい気持ちが強くなった。
吉田:今まで三年間どんなことをしてた?他にやりたいこと、やり残したこととかはある?
リン:やりたいことは特にないんだけど、武蔵美に来て最初の頃は図書館によく行ってた。図書館でも一階にある雑誌をよく読んでたね。デザイン系の雑誌を見るのがすごい好きで、職人の作品や仕事の裏側が掲載されている雑誌を見ることによって刺激を受けていた。図書館でも一階にある雑誌をよく読んでたね。だけどコロナの影響であんまり行けなくなってしまった。 入ってから今まで三年間空デのいろんなコースの授業がとれたから悔しいことは特にない。逆に楽しかった。ファッションとかも好きだけど大学の授業とは合わなくて、ファッションコースは自分の好きなスタイルとは違ったから選ばなかったね。
吉田:ちなみに実家にはよく帰るの?
リン:私ね、結構帰るの。
吉田:じゃあこっちに来た初めの頃はどんな感じだった?
リン:こっちに来たのが19歳の時で、高校卒業して言語学校に入って、そこの先生が厳しくて、あれもこれもやってはダメって言われてたから19歳の時の自分はすごくビビってた。初めて東京に来た時は言語学校の近くの池袋に住んでたの。池袋って中国人が多くて、だからその時は東京に来た実感はあまりなかった。放課後も予備校に通ってたからそこまで遊びに行けなかったし、でも武蔵美に受かって三鷹に引っ越してから色々遊びに行くようになった。楽しかったし、外国人だからこそ日本の生活を大事にしたいっていうのがあって、私の知っている外国人の人が東京の風景や街並みを楽しんでいるのを見てたから、私も楽しみたいと思った。
吉田:卒業したら台湾に帰るつもりはある?
リン:うん。帰るつもりはある。でもなんというか悔しい気持ちはある。そのまま帰るのは結構悔しいかもしれない。すぐ帰るってことはないけど、まだ決めたくない。正直一回でもいいから日本で就職したい。就職はしてみたいけど帰りたくなったら帰ればいいと思ってる。東京には来てみてとても良かった。