7期生

ゼミ新歓

2020/11/08

こんにちは!

ついこの間鈴木ゼミに8期生が入りました。
全部で23人、多いですね。

10/19に新歓を行いました。

最初に先生たちも混ぜて「他己紹介」をしました。
ペアで自己紹介をし、お互いに相手の紹介をしてあげるものです。
普通の自己紹介よりも相手の事を覚えられるので、新歓にぴったりでした。

その後は「知らない人の知らないクイズ」をしました。
ゼミ生や先生の本人しかわからないようなクイズを出し、チームごとに答えてもらいました。

このクイズを通して、初めましての方もそうでない方も色々なことを知るきっかけになりとっても楽しい時間でした。

最後にゼミ7期生から8期生のみんなにお土産を渡しました。
中のお菓子はゼミ生それぞれのオススメのもので、一つ一つ包み方も違い、鈴木ゼミらしい遊び心のある包装になっていると思います。

喜んでもらえたら嬉しいです!!

これからよろしくお願いします。

岸 奈々佳×スウ シウ

ものづくり・自分の夢

なぜその本を
選んだか

スウ:私は『ファンタジア』にしました。去年大学院の受験をきっかけにポートフォリオを作ったのですが、そこにつけたタイトルが『窓辺のファンタジー』で、かなりこの本のタイトルに近いので親近感を感じました。
ポートフォリオにそのタイトルをつけた理由は、冊子の中の全ての作品に「窓」を直接に使ってはいなかったのですが、広義の「窓」に見立てをし、日常に気づきにくい「窓」の存在を意識させるという意図があったわけです。
だから、窓についてのファンタジーと言えるかなと考えました。他の人は「ファンタジア」という言葉をどう捉えるかということに興味を持ってこの本を選びました。

岸:なるほど。スウさんといえば「窓」というイメージがありますね! 
この間鈴木ゼミでスウさんの発表を聞いて、とてもおもしろいことを考えているなと感じました。鈴木ゼミでは「見方を変える」みたいなテーマを扱うことが多いから、スウさんその「窓」というものをどう捉えるのかというような、いろんな⻆度からひとつのものを見ていくという研究はとても鈴木ゼミに合っているなと思っています。

スウ:聞いてくれてありがとう。日本語が上手じゃないから、あの時はめちゃくちゃ緊張してたんだ。
岸さんはその本を選んだ理由は?

岸:私は『モノからモノが生まれる』を選びました。 これは大きく言うと製品の企画に関するムナーリの考え方が書いてある本です。 私は普段商業誌に向けて漫画を描いているんですけど、その過程でまず最初に出版社の担当編集さんに次にどういう話が描きたいかを伝えて、GOサインをもらわないといけないんですね。
その時に必要だなと思うのが自分がこれから描きたい話のどこがおもしろいか、なにが起こってどういうキャラが動くのかをしっかりとまとめること。そしてそれを目の前の相手に伝えることだと思うんです。

スウ:企画から原稿まで、岸さんは全部自分でやっているんですか?

岸:そうですね。前に編集さんにはっきりと「岸さんには企画力が足りないね!」と言われたことがあって…… 
それでなにか学べることがあるのでは! とこの本を手に取ったんです。この本ではデザイナーが企画を作っていく過程が書かれています。 提案された問題を分析して細分化して、それぞれの小さな問題に対処する方法を見つけて当てはめていって、さらに分析して試行錯誤して……そして自ずと解決方法が導き出される。そんな手順が解説されていました。

スウ:なるほど。以前ゼミで岸さんはそれと似たようなことを言っていた気がします。空間演出デザインという学科にいて求められるのは“アート”と“デザイン”の間にある考え方だと感じていて、やっぱり企画やアイディアを立てる際にはもっと理性的に受け手のことを考える必要もあるんですよね。作品は自己表現だけではなく、共感も得ていかないと足りないのかもしれないね。

岸:そうですね…… 私も漫画を描く時は常に読者の人たちのことを考えなければいけないと思っていて。 ただ自分がやりたいこととうまく釣り合いを取るのにまだまだ苦戦しています。

 

自分のやりたいこと
自分の夢

スウ:岸さんは漫画家を目指しているんですよね。以前ご両親も漫画が好きな人達だと聞きましたが、その夢にきっとご両親も喜んでいるでしょうね。

岸:喜んではいないかな〜。両親に生まれた頃からずっと言われていたのが「政治家と漫画家にはなるな!」だったので。

スウ:え! 意外ですね!
岸:だから漫画家になるという夢は大学入るまで本当に一切考えたことがなかったんですよ。私は大学入る前に一年間浪人をしていて、その時に予備校に通いながら大学という目標より先で将来自分はなにをやりたいんだろうと真剣に考えた時に、多分漫画家を本気で目指していないと後悔するなということに気づいたんです。

スウ:自分の夢は何かを明確させる人は幸運な人、その夢を実現させる人は勇敢だ。岸さんは両方当たって、よかったですね。

岸:わ、いい言葉ですね。
そういえばこの間ゼミで子どもの頃の夢の話になって、スウさんはファッションデザイナーになりたかったという話を聞きました。

スウ:それは高校までの夢だったんですよ。だけど大学に入る時、現実的に考えたら多分自分はファッションデザインに向いていないかなと思って、公共空間デザインという専攻にいったんです。
でも、なんだかファッションデザインと空間デザインの共通点は多いと感じます。体というものはみんなが持っている一番身近な空間で、その空間の美しさを他人に見せることなどを目的にデザインをすることもファッションデザインと言えるのではないでしょうか。
それに、私はいまも布や糸などの素材を扱って製作したりもするんです。ジャンルや素材の境界線を超え、自由に表現できることは大事だなと思います。

岸:うんうん。ものづくりはどんなジャンルでも似通うところが必ずあると思っています。
それに普段絵を描かない人たちでも紙に書かれた人間の体がちょっとおかしい形をしていたらすぐわかるんですよ。人体のどこにどういう筋肉がついているか、どういう形の骨が入っているかなんて詳しい知識が一切なくても違和感のある体の絵はほとんどの人が無意識にわかる。だから人は人間のことをよく見ているのだろうなと思っています。

スウ:うん、やっぱりすぐそばにあるものだからね。
昔美大の附属高校に通って、絵をいっぱい描かされていたことを思い出した〜! 懐かしいな。その時は何時間も座ってデッサンの練習をして、腰も痛くなったし、鉛筆を持った感じも今とは全然違います。やっぱり同じことを続けてやっていると、体の変化にも少しずつ気づいていくんだろうね。

岸:私も受験時代はずっとデッサンをやっていました。でも腕を上げてキャンバスにひたすら鉛筆を擦り付けていたその頃に比べると今は二の腕がすごくふよふよしてて! その部分はめちゃくちゃ衰えちゃってますね。

スウ:へ〜すごい。

岸:あの時そんなにここの筋肉を使ってたんだと! 今はもうあんな長時間はキャンバスに向かっていられないでしょうね。

スウ:そうですねえ。

 

スウ:岸さんと初めてがっつり話しました。ほんとに笑い声に満ちた対話でしたね! またいろいろ話したい!

岸:ぜひ!

荒濱更紗×ジョブンヒ

形・意識・環境

ジョ:私はブルーノ・ムナーリの『ファンタジア』を読みましたが、荒濱さんはなぜムナーリの『芸術としてのデザイン』という本を選びましたか?

荒濱:舞台の勉強をしていて、人とかモノの距離感が演出している空間にすごい興味があって、その時に、『芸術としてのデザイン』に「円」という項目があって、それを読んだ時に、大道芸を思い出しました。大道芸を見る時、みんな自然と円になっているじゃないですか、あの瞬間ってすごい空間に一体感があるなぁって思うんです。だから、その円について読んだ時に、確かに円というものが人とかモノを一体化する力があるんじゃないかなと気になったので、その円っていう項目を選びました。あと、さらに詳しく知りたかったので、ムナーリの『かたちの不思議2ー円』という本も読みました。

ジョ:なるほどね~中国でも少数民族が円になってダンスする時があります。なんか思い出しました。

荒濱:例えばどんな感じですか?

ジョ:真ん中に火があって、人がその周りに集まってダンスをするんですけど、そうすると人は徐々に円の形になります。

荒濱:多分どこの国でも絶対に四角ではなく、どちらかというと円になると思います。円って中心から見た時に、どこも同じ距離じゃないですか。だから不公平とかもないし、みんなが輪になって見やすい環境になるから、すごいなぁって思います。

ジョ:確かにそうですね(笑)自然の現象から空間の一体化までの円形について色々な発想があって、その上で荒濱さんにとって、円形はどんな意味を持つと思いますか?

荒濱:まず円って調べた時に宇宙というワードが出てくるとは思わなかったです。円って、神秘性とか永遠性で、超越的なんだなーって。自分が思う意味?どんなだろう?難しいなぁ~。なんというか、円は柔らかい、暖かい印象があって、四角はやっぱり硬い、冷たい印象があると思うかな(笑)。

ジョ:なるほど、荒濱さんの文章に幼稚園の先生についての例で「ぽっちゃりした先生が優しい印象を持つから人気」というのが書かれていて納得しました。

荒濱:ジョさんにとって、円はどういう意味がある思いますか?

ジョ:私にとって、円形は生活していく中で一番身近な形で、例えば果物の形とか太陽などの自然物とかがありますし、造形物もよく円形で生産されるじゃないですか、コップとかペットボトルとか。最も使いやすい形だなぁって思います。

荒濱:もちろん四角とか三角が基盤のデザインもあるけど、やっぱり一番の基盤って円なのかなぁ。

ジョ:あとは円は世界の原点だと思います。だから具現的世界とか抽象的世界とか、意識とか無意識とかも円に関係してくるのかなと思います。荒濱さんは、無意識と意識についてどう思いますか?

 

無意識」とは?「意識」とは?

 

荒濱:気にしたことがなかったなあ。例えば、私はハリーポッターがめちゃくちゃ好きで、ちょうど小学生の時にハリーポッターの映画が始めたんですけど、その時に本を読んでて、本の世界が映像化された後っていうのに感激を受けて、その時は無意識で多分見ました。無意識で見ている時は全体を見てるって感じで、わりと一点というか集中して見る時は意識して見ているのかなって思います。

ジョ:へえ~面白い。私にとって、何かが発生する時、我々の頭の中で覚えた記憶を自然に表現することが無意識だと思います。例えば、お腹すいた時にご飯を食べたいとか。意識というのは、言い換えると物事についての思考です。例えば、旅行する前に、目的地とか地元の食べ物とか調べて経験したことは意識した表現です。

荒濱:計画していく旅行と何にも考えずにぶらぶら歩いてる旅行は、意識と無意識なんですよね、きっと。無意識で動くほうが思わぬことに出会うって感じがして、意識して行動すると思わぬことというよりは先がちょっと見えてしまうというか。多分意識して、普段生活すると思うんですけど、時には無意識に行動してみたりするのは大事だろうね。

ジョ:さっき言った宇宙の話を聞いて初めて想像してみたんですけど、円の形の印象が強くて、四角形と三角形イメージが全くないです。実は、上海の1920年代ぐらいの建物は、窓の形はよく円形で作られていて、ぱっと見て、西洋風とか東洋風というより、全く違うスタイルだと私は思うんです。円形は、デザインの要素として何よりも美しいです。

荒濱:へえ~私は日本にそんな円形の窓を見たことないかもしれない、大体四角形だよね。鏡だったら、円はよく見ますけど、窓はないかもしれない。

ジョ:そうなんですか。荒濱さんは「円形劇場は額縁舞台と比べて、 演者と全部の観客の間に同じ距離によって平等さができ一体感を感じる」と書いてましたが、詳しく説明してもらえませんか?

荒濱:なんだろう。例えば、今池袋の劇場、東京芸術劇場の外に新しく野外劇場を出来たんですよ。その野外劇場が円形なんです。なんかその円に沿うように舞台やスピーカー、カフェまであって、円形を採用した理由は昔あった噴水から連動させたらしいんだけど、私が思うにいつでもそこに人が集まってくる場所・空間にするためには波動のように円形である必要があるのかなーって。もちろん、四角にも良さがあるとは思うけど。言葉にするの難しいなあ…。

ジョ:そうですよね。

荒濱:客席と舞台が一緒の場所にある舞台があって、舞台の中に席があるんですよ、あれは役者と観客が同じ空間で同じ視点から見て欲しいから、自由に座ってほしいというもので、だから見る方向も一点じゃなくて、いろんな方向を見るんです。自分の座ってるところから視野が180度から360度に変わると、世界観に入り込みやすいなと思います。それに観客が周りで役者が真ん中じゃなくでも、逆でもいいかなぁって思うんです。観客が真ん中で役者が周りだったら、観客は見る視野が増えて面白いです。

ジョ:その舞台とともに360度移動する席もあるって、それは本当にすごいデザインだなって思います。なんか円っていう話題はいろいろと繋がって面白いですね。お互いに異なる本を読んだので、意見とかアイデアを交換したり、勉強になって嬉しいです。

 

子供にとって、重要な環境とは?

 

荒濱:うん、わかる!ジョさんは『ファンタジア』って読んだんですよね?ムナーリが子供について書いてるところにすごい興味があります。

ジョ:子供たちが早いうちから学んだりするのは、大人になる時に色々な考えを持てるからだます。だから子供の教育はとても大事なんです。

荒濱:重要ですよね!日本って結構子供向けの体験のイベントとか多いイメージがあって、中国とかはそういうのはあるんですか?

ジョ:あるけど、学校じゃなくて、別のサークルクラスなんです。もし子供が何か興味があったら、音楽とか英語とか、そのサークルクラスに入るわけです。中国より、日本の子供はアートのセンスは高くて、小さい頃から色々ないいデザイン作品を教わっていて、よりよくセンスを育んでいると思います。例えば、有名なデザイナーが学校の教科書をデザインをしていたり、子供たちは日々良いデザインを見ているから、徐々に見方が変わるじゃないですか。

荒濱:何か始めるにあたって、小さい頃からやる方が覚えるのは早かったりするじゃないですか。小さいければ小さいほど。ジョさんは思考力について書いてましたが、なんかそういうのも思考力から実践力を身につけるためには、それなりに小さい時からなんでもいいからやっていくことは大事なのかなぁって。

ジョ:もし荒濱さんが親になった時、子供の教育はどうしますか?

荒濱:そうですね、私はずっと都会に住んでたので、田舎というか自然があるところに興味があるんです。で、都会にいるとなんでも自分の手元にあるとか便利なものがあるけど、自然の中で生まれた育てきた子供達ってすごい感情が豊かとか思うんですよ。この前テレビで住宅を二つ持っている人の話をやっていて、仕事するに当たって動きやすい交通の便がいい都会に主に住むんだけど、土日だけは海が見えたり、山が近くにある家の方に戻るっていう話で、すごく関心したし、いいアイデアだなと思いました。自然の中でだけで育てるのも純粋に育っていく感じがしていいと思うけど、その反面、自然の中だけだとちょっと自由すぎるというか、都会の環境に慣れていないのも危険を感じるというか、必要なのかなぁってちょっと思っています。

ジョ:何でも両面性があって、いいところと悪いところを同時に持っていると思うんです。私にとって、場所より、ものに関する好奇心ややる気を育てることが大事です。もし何か物事に関心を持っている時、知らず知らずに考え続けるようになります。

荒濱:子供ってあれやりたいこれやりたいってすごく多くて、その夢は壊したくないよね。その代わり、自分に責任を持って欲しいな~。

最後にジョさんは、思考力と実践力をどうやって身につけていこうと考えていますか?

ジョ:それは難しいなぁ。人によって異なる方法もありますし。けど、さっき言った通り、好奇心を保ち、疑問を抱くことはものの認識の切り口として、深く理解ができるかもしれない。要するに、思考力と実践力は大体好奇心から起こると思うので、好奇心を持って行動することを大事にしたいです。

安達芽衣×牛河内由樹

ファンタジアから考える自身の幼少期と未来について

牛河内:私はブルーノ・ムナーリの『ファンタジア』を読んだけれど、安達さんは何を読みましたか?

安達:私も『ファンタジア』を読みました。柔らかい考え方を感じて、いいなあって。

牛河内:同じ本だったんだね。安達さんは以前興味があることについての発表で教育の話をしていたよね?

安達:そうなの!興味の湧く内容だったし、今考えている制作活動のヒントになりそうなことが多くて面白かった、様々なジャンルのものに面白みを見出すこととか…。

牛河内:後半のワークショップの内容とかはゼミとかでも扱えるヒントになりそうだよね。

安達:本を読んでて、ムナーリの遊び心に溢れてて年月が過ぎてもそれが色あせないところが、なんだか鈴木さんに似ている感覚がしたんだよね。色々と鈴木ゼミのメンバーの感覚に合っている部分がある気がして。

牛河内:見立てっぽい部分とかね。

ファンタジアから紐解く
お互いの幼少期について

安達:ムナーリは子どもについて多く触れているけれど、牛河内さんの「ファンタジア」の感想レポートの中で自分の幼少期の話をしていたのが印象的だったな。

牛河内:安達さんは幼少期は美術とか得意だった?

安達:絵を描くのが好きだったから得意だったよ!高校も美術系に進学したし、昔は絵本作家とかイラストレーターとかになるんだろうなって勝手に思ってたなあ。

牛河内:絵は描いていたけれど、そんなに大好きではなかったな。でも図工の時間はすごく楽しく感じた思い出がある。

安達:すごくわかる!なんであんなに楽しかったんだろうね、図工。

牛河内:私は逆に高校時代はほとんど美術に力入れてなかったよ。

安達:私の高校は美大進学が王道で、クラスメイトもほとんど美大に進学するから流れができていた感覚があるんだけど、牛河内さんの美大進学はどんなきっかけだった?

牛河内:私は真逆だったよ。

安達:私たちかなり真逆の組み合わせだね!(笑)

牛河内:本当にね!(笑)

私に周りには美大進学経験者が全くいなくて、先生に相談しても「国立に行かないなんて!」ってリアクションだったの。

安達:環境が全く違くて新鮮…牛河内さんは課外活動のダンスに力を入れているけれど、美大を選択したのもそれに関する空間や演出を作りたかったから?

牛河内:うーん。それ以外に勉強したいものがないというか、やりたいならここ(空間演出デザイン)かなって思ったんだよね。

安達:絵とかではなく?

牛河内:絵とかグラフィックはあまりやりたくなくて、それ以外で何を学ぶかを幅広く迷える空デが、自分にも合ってるかなって感じて。

安達:私も色々なことに幅広く挑戦できるのを魅力に感じていた!でもずっと迷い続けていまっている感覚が自分の中である…(笑)

牛河内:贅沢な悩みだけど、悩むし迷うよね…

安達:揺るがない強い目標とか職業がある人が多いのが美大は多いから、強く憧れてしまうかもな。

牛河内:うんうん。

安達:牛河内さんがレポートで幼少期について触れていた部分で、運動会や美術の賞などで1番であることに対して憧れと嫌悪感があると書いていたのを今の話をしていて思い出したよ。1番という順位を得られないとダメだって思っていたの?

牛河内:うん。すごくもやもやしてて。幼少期はいつも順番を気にして生きてたかも。1番になるために頑張っていたけれど、そのぶん1番になれなかった時に意味を失ってしまうというか…。安達さんは気にしたことあった?

安達:うーん、私も絵や美術を褒められて賞に入ったり、それこそ1番になった経験があるから今ここ(美大)にいるということもあるけれど、最近はあまり感じないかな。他人視点ではない自分で自分を1番と思えるか、とかかな。オンリーワンみたいなものを感じたい。

牛河内:オンリーワン!いいことだね!

これからの自分たちと向き合う

安達:コロナの中での生活で自分と向き合ったり、就職活動で自分のことを全く知らない人にジャッジされる体験多くがあったことで、私の考え方もこの短期間で変化し続けているなと感じてるし、この機会に読んでおいて良かった一冊だなと感じたなあ。

牛河内:前半とかは特に哲学的で難しいけど、おもしろかったよね。

安達:見慣れたものや考えでも新しい視点や角度で見つめることで、新鮮な面白みを見つけられるという考え方は、今の生活や自分の悩みを切り開くいい糸口になるんじゃないかと感じたよ。

牛河内:うんうん。今の自分にも生かされるし、これから先も何かに迷う度に読み返したい。もし子どもができたときには、教育を学ぶために絶対にまた読まないと!

安達:牛河内さんと今までしっかり話したことがなかったからすごくいい機会だった!卒制楽しみにしているね。

牛河内:北欧の文化と日本文化の共通点が面白いなと思っていて、そういうマインドの部分をインスタレーションとして作品にしたいなと思ってるの。まだ悩んでるんだけれど…。私も安達さんの卒制楽しみだな。

安達:いいね!私も自分が心から満足して楽しんで作ることができるような活動や作品を卒制として制作していきたいなと思ってる。がんばろうね!

中島雄大×丸山結衣

会話・生活・制作

丸山:今回ムナーリの本を読んでみて、どんな印象を持ちましたか?私は、口調が強いイメージがすごくあってムナーリは厳しい人なのかな…と思ったりしていた。言い切る感じの文面が多い気がして。中島くんが読んでいたのは『ファンタジア』?

中島:そうだね。ムナーリがどんな人かは詳しく掴めてないけれど、講義みたいな本だったな。アートとかデザインとかは、そのものが持っている特徴、例えば素材だったり、色だったりっていう要素を組み換えていくと新しいものが生まれる。新しいものを生むための新しい組み替えをしていくためには、想像力が必要になってくるから、その想像力を掻き立てるワークショップをしてみましょうっていうような内容だったかな。あくまで僕が読んでの見解だけれど。丸ちゃんは何を読んだ?

丸山:私は『芸術家とデザイナー』を読んでいて、文字通り、芸術家とデザイナーを比較している本だったかな。芸術家は「希少作品を一人で作る人」、デザイナーは「共同体の中でものを作っていく、機能を持ったものの設計者」っていうふうに書かれてて、そこが 自分は印象に残っている。私は今まで、人に芸術家とデザイナーの違いを問われた時に、とっさに答えられないことが多かった経験があったの。ムナーリの本を読んで、彼なりの定義が少しわかったような気がしていて。私たちは空間演出デザインを学んでいるけれど、どちらかというと芸術家よりなのかなと思ったりしたかな。

中島:鈴木ゼミはわりと現代アート寄りなゼミだよね。それぞれ違う本を読んでいるとここまで印象が違うものなんだね。他のゼミ生も全員同じ本を読んでいるわけではないから、みんなからムナーリの印象をそれぞれ聞いたら全然違う解釈が出てきて面白いかも。

丸山:そうだね、今二人で話していてもだいぶムナーリのイメージが違う。私たち以外のゼミ生にも印象も聞いてみたいと思ったかな。

中島:でも、結構僕は鈴木先生っぽいなとも思ったよ。

丸山:どんなところが?

中島:つかみどころのない感じ?以前鈴木さんもムナーリに影響されていると言っていて。実際にムナーリは物事の事象をまんべんなく分析し、抽出する。それらをいかに扱うかで、人々が持つ想像力を掻き立てられるかを大切にしていると感じた。

鈴木さんも、見慣れたものに新たなプラスを加える事で、新しい考え・見え方を生み出し、 それらを様々な媒体や切り口から提示する事で、僕たちに影響を与えていると思ったよ。 だから、この二人の根底の部分はとても似てると感じている。ところで最近、丸ちゃんは卒業制作の研究として、内藤礼さんの作品を調べているみたいだけれど、ムナーリと内藤さんとを照らし合わせてみると何か共通点とかあったりする?

丸山:私が読んだ本ではデザイナーが大衆に向けてグループで物づくりをしていく話から 派生して、個人と人類の話をしていたの。人間は元来、自己中心的に考えるようできている。でも、グループで仕事をしていくことで、全員が不可欠で、誰でも誰かのために、広くいえば人類全体に貢献できるっていうような書き方をしている。内藤さんの作品は、人間は生きているだけで祝福をされているっていうようなメッセージが込められていて、どちらも人が存在していることを受け入れるようなところは似ているのかなと思っているよ。

中島:内藤さんは静かなものを扱うのが上手だなと思っていて、変化が劇的に見えないものっていうのはすごく難しい気がしてるかな。

丸山:私はきっと、内藤さんの作品のようにささやかではあるけれど、ただ何かが存在していることに興味があるんだと思う。中島くんは研究で、自身の地元の滋賀県の民話を扱おうとしているけれど、調べようと思ったきっかけはあるの?

中島:もともと、僕は抽象的なトピックを扱うのが苦手なんだよね…。 鈴木さんのゼミに入って面白いなと思ったところは、僕たちは確かに空間的な考え方をするのはもちろんだけれど、それに加えてZINEの課題で言葉の使い方を勉強できたこと。 それで、習ってきたことを扱えないかなと思った時に地元の民謡とかをうまく組み合わせられないかなと思ったんだよね。

丸山:なるほど。私は作品制作の時に、考え込んで、手が動かないタイプな自覚があるの。でも、中島くんみたいに身につけたプロセスを作品に活かすことは大切だよね。 私は大学に入るまで、美術を専門的に学んできていない。 だから、形にしていく作業がすごく苦手。

中島:てっきり丸ちゃんは一人でコツコツものを作っていくことが得意な人なのかと思ってた。

丸山:自分が思っている自分と人が見ている自分のギャップが聞けて、素直に面白いなと今思ったよ。あと、素直な疑問なんだけど、中島くんは普段の生活の中で、自発的にものを作っていくタイプ?それとも、課題が出されてから作くるものを決めるタイプ?

中島:微妙かもね。僕自身が結構両極端だから。やるときはやるし、やらない時は本当にやんない感じだよ。

普段の日常と
その延長線上の制作

丸山 :でも、普段から写真とか音楽とかに興味を持っている感じはするし、実際にやっているよね。
中島:あれは趣味だよ(笑)趣味にしてはやたら凝ってるって言われるけどね。

丸山:趣味でもすごいよ。私自身は日常であんまり物を作ったり、写真を取ったりしてこなかったタイプなのかもしれない。

中島:でも僕もやるときとやらないときが結構あるから、基本的にはやらないタイプだよ。

丸山:なるほど。 私は作品にして訴えたいことがあまりないの。思っていることや考えていることは伝えたい人に言葉や行動で示していくのがいいかと思って。だから、みんなはどういう動機でも のを作っているのか気になっていてね。

中島:でも、今、何か作っていたりするんでしょ?

丸山:服とかは少し作っていたりするよ。着たい服を自分で作れたら楽しいかなと思っ て。今はブラウスを制作中。
中島:お!!すごいね!! そういう見ると僕もやってやるぞって思う。

丸山:作業として手は動かしていたいなと思っている。でもやっぱり、伝えたいことを何か作品にして伝えようとしていたりする人はとても尊敬してる。

中島 :その通りだと思う。芸術家とかってさ、忍耐力半端ないなって思ってる。

丸山:まさに精神力の鬼だよね。ひらめいたアイデアを形にするまで、誰も答えを見ることができない。その形を知ってるは自分だけって思うと自分の考えの軸を保つ必要がある気がしている。私は実際に何か作ってる最中に、自分が好きなものがわからなくなってくるの…。

中島:僕も一人でできないタイプだから、フリーで仕事のできる人やアーティストはすごいと思う。作品を生むときってすごい難産だなって思ってて、あれが忍耐力が求められるポイントなんだと思ってる。だから作品作る人は忍耐強いなってつくづく感じるよ。

丸山:確かに。鈴木さんもアーティストとして活動しているけれど、大きいものをいきなり生み出すってよりはどちらかというとコツコツ蓄積してる感じがするよね。そこは私自身もとても憧れている。生活と作品を作ることが地続きな気がして。

中島:そうだね。それに加えてさ、休みの日に作品つくる人って本当にすごいと思っている。例えばさ、経済学部に入ったとしても、普通は土日に経済の勉強しないよね。でも美大の人はそれを難なくこなしてて、尊敬する。

丸山:そういう人たちは小さい頃からずっとものを作り続けてる人も多い気がするかな。中島くんは美術系の高校とかだった?

中島:いや、普通科の学校だったよ。だから、一般大学に行った人がほとんどだったし、 僕みたいな美大に行った人は本当にマイノリティーだったかな。

丸山:そうなのね。美大に来た理由とかってあったりするの?

中島:まあ、見知らぬところに行きたいという思いがあったし、せっかくの学生生活だから、なんとなくで面白そうで行ってみようってなったのが始まりかな。丸ちゃんの地元は?

丸山:仙台だよ。私には、大きいふりした小さな街だったから、本物の都会に出たい気持ちはわかるような気がする。私も勉強熱心な高校から美大に来たから、ギャップもすごく感じていた。考えてばっかりして、ものを作っていくのになかなか行動に移せなくて…。

中島:確かにね。でも、実際に丸ちゃんは色々な事やってるよね。例えば音楽とか?サックスだっけ?

丸山:クラリネットだよ。

中島:大会に出るくらい強かったらしいね。

丸山 :そこそこだけどね。中島くんとは、なんとなく境遇は似ているのかもしれない。 中島くんは美術部だったらしいけど、その時から何かを形にするのが好きでムサビにしたの?

中島:いや、そこまで思いが強かったわけじゃないよ。だから、来た時のムサビ生の創作意欲の高さにはびっくりした。

丸山:私もそれはすごく感じた。美大だから当たり前だけど、周りにはものを作れる人が多くてこの人たちの中で自分はどう表現していったり、勉強していこうか悩む時もあった。そこで、考える事は割と好きな方で、鈴木さんのゼミだったら、制作の過程や考え方を評価してもらえて、自分には向いているかと思って。中島くんはゼミを選ぶ時はどういう基準で選んでいたの?

中島:消去法かな?色んなことに興味があるから、一番視野を広く保っていられるのは鈴木ゼミかなと思って。実際にインタビューやってて、丸ちゃんは結構、喋るのがうまいなって思う。とても聞き取りやすいよ。

丸山:正直なところ、インタビューの課題で相手を発表された時、長く会話が続くかなって心配だった。だけど、意外と続いててびっくりしている。

中島:僕、割と初対面の人と喋るの得意だから、それがあるかもね。

丸山:へぇ、そうなんだ。(私は初対面の人ではないけどな…。)それはどうして?

中島:なんでだろうね。まあ多分、話の途中でよく質問するからかもしれない。

丸山:でも、どんどん質問が出るのはすごいと思う。私は相手の話を聞くと、相手の考えに影響されちゃうのよね。そういう風な考え方もあるのかと思って、質問できなくなってしまうことがよくある。

中島:僕の場合は雑談ばっかりで趣旨からそれてしまうっていう難点も持っている。

丸山:それはあるかもね…。少し話が変わってしまうけれど、前のゼミで動画紹介をした時、中島くんが見せてくれた動画の作者であるARuFaさんがとても好きなの。

中島:お!!同志がいた!!

丸山:よくその人たちが関連したラジオとかも聴いていて、面白いって思ってたんだよね。鈴木先生もそれを話していて、そしたら喋る動画とか作って見たら?って言われているんだけど、いまいち踏み切れずにいたりする。

中島:良いじゃん。やってみようよ、ラジオ作り。 zoomとか使ったら、できそうだし、面白い発展が観れると思うよ。僕も手伝うから。

丸山:すごい勢いだ……。中島くんは自分からやる気が出るとアクセルを一気に踏めるタイプなのね……。

中島:そうかも(笑)。じゃあまずは丸ちゃんが司会進行やって、僕がサブでやってみようか。

今岡 朝子×鈴木 伊柔×関根 萌夏

動物・人間・言葉・空気      

今岡:ブルーノ・ムナーリの本を読んでみてどうでしたか?

関根:私は『ファンタジア』を読んで、教育とかあんまり考えて生きてこなかったから、ただのうのうと生きてるだけではダメで、年齢的にも次の世代を育てる代に入ってきてるんだなと、ちゃんと生きようって思った。私と今岡さんは同じ本を読んだけど、鈴木さんは読んだ本が違うよね?

鈴木:私が読んだ『芸術としてのデザイン』はあまり一貫性がないように感じるんだけど、二人の読んだ『ファンタジア』はどういう感じなの?

今岡:一貫性はあったように感じたかな。

関根:最初から最後まで一応繋がっているけど、その道中デザインやアートの見せ方や仕組みを例に挙げて教えてくれるのがすごく親切だったなと思った。

鈴木:私が感じたのは、ブルーノ・ムナーリは無意味に思えるようなことも自分なりに意味を見出していて、それがゼミでやった『見立てウォーク』(ゼミ生それぞれの視点で街を歩き、今あるものが何か違うものに見えた瞬間を写真に撮り、タイトルを付ける活動)みたいだなって。

関根:『ファンタジア』も見立てっぽいものが多くて、見立てウォークだって思いながら読んでいたのだけど、そこぐらいしかなるほどってなるところがなくて、ほかは結構、身近にあるけどあまり気にしてこなかったものが多い。ファンタジアについて書いてあるけど、美術の参考書みたいな感じもしたな。

今岡:見立てでいうと『ファンタジア』65ページに「ペンネレッサちゃん」っていう平刷毛を使った作品が載っていてその作品に関して「壁に掛けられた紫のヴェルヴェットをまとった絵筆君の隣にそっと置かれるのである(当然だね)。」という文があるのだけど、おめかししたペンネレッサちゃんの隣には絵筆君がいるといいなみたいなことを「当然だね」まで言い切ってしまうことが私は衝撃だった。『ファンタジア』には見立ての作品が多く載っていて、その「当然だね」って言うことを、今まで私はちゃんと想像できていたのかなと思った。

関根:そうだね。言い切ってるところが多かったと思う。

今岡:関根さんは感想レポートに、『大人になっていく上で想像力を持っていないとダメだ』と書いていたけど、それは卒業後など、これからどういう方法で想像力を持ち続けていく行動をしようと思っているの?

関根:今どうやって想像力持ち続けるかって考えたら、やっぱり知識を入れ続けることかな。常に本読んだり、美術館に行ったり、吸収していくことを止めないって言うことが想像力を消さないようにするには大事かなって思う。学びを止めちゃいけないなっていうのをここ最近すごくひしひしと感じるな…。

今岡:それは大学を卒業するから、ひしひしと感じている?

関根:今は課題があるから学ばざるを得ないというか、課題で作品作るにしても自分で調べるけれど、大学卒業して社会に出たら仕事のことは学ぶかもしれないけど、それ以外の趣味に近い部分はやらなくなってしまう気がして。つまらない大人にならないためにも、知識だけはちょっとでも増やしていかないと、疲れ切った顔で電車に乗っているサラリーマンみたいになっちゃいそうっていう恐怖が個人的にあって…。楽しい人でいたいからこそ、想像力って絶対欠かせないなって思う。だから、常に学ぶことをやめないことかな…。

鈴木:私も疲れたように見える大人にはなりたくはないかなぁ。学び続けている人は、疲れたように、人生がつまらなそうには見えないということ?

関根:そう!大人は本当に忙しいだろうけど少しでも抵抗したいから、そのための潤いになるものの一つに学びがあると思う。自分の知らないこと、興味のあること、なんでもいいと思うけどちょっとでも知識が増えたら少しのことでも楽しめるようになるかもって思っていて、今辛いことも知らないから辛いのかもしれないし、学びは大切かなって。

鈴木:確かに、人生が豊そうな人は知っているから違う見方や考え方ができたりするのかもしれないね。

今岡:鈴木さんのレポートには動物や植物について書いてあったけれど、いま何か気になってる動物や植物などはある?

鈴木:やっぱり自分の家のベランダにいる観葉植物たちかな。形が変わったり、芽が出るタイミングが変わったり、色が変わったりとか、その変化を毎日見るのが楽しいって感じ。

今岡:動物や植物は同じくらい好きなの?両方生き物だけど、なにか違いを感じていたりする?

鈴木:植物は動物に食べられて運ばれたり、ナマケモノが体に生える苔を栄養源にしていたり、そういう共存の関係をひっくるめて好き、だから両方好きだなって思っていて、両者の違いはあまり感じていないかも。

動物と
人間の違いについて

関根:鈴木さんは動物と植物好きだよね、人間は好き?

鈴木:私は人間だし、嫌いではないと思うんだけど実はすごく苦手意識がある。人間以外の生き物は生きる為に生きていることが当たり前なんだけど、人間だけがそれが難しいなっていつも感じていて。

関根:なんか生きるために色々しなきゃいけないっていうか…。

鈴木:そうそう、生きること以外に付加されるものがたくさんあるというか。“ただ生きている”ことに罪悪感を感じるのは人間だけで、動物や植物は当たり前に“ただ生きている”でしょ。人間には難しいけど、動物や植物はそんな風に単純になれることが魅力的だなって、そういうところが好きなのかもしれない。

今岡:ただ生きるのに全力っていうか、全力とも気づかないぐらい当たり前に生きてることが魅力…。動物とか植物同士って会話するのかな?

鈴木:植物は、例えば左側の葉が「日光が足りないよ〜」って言ったら、右側の葉が避けたりとか。大きく枝分かれしたり、群生していても、そういう連携や意思疎通ができているようには感じるな。

今岡:え~そうなんだ。

関根:すごい…今までそこまで植物をちゃんと見たことなかった。

鈴木:でも前まではそんなに観察してなかった。自分で育て始めてから眺めるのが楽しいなって思うようになったな。

今岡:それが何年も飽きない理由なんだね。

関根:鈴木さんは猫二匹と暮らしているけど、猫ちゃん同士で会話してると思う?

鈴木:「いま嫌だと思ってます」とか「お腹がすいた」とか、単純な感情を伝え合っているだけなんじゃないかな。

関根:あー、でもそうかもな、うちの犬たちも多分会話してない。「今近づくなよ」とか、「楽しいね」とか伝えあっているのは見るけど、それ以外はみんな個々に生きてるなって思う。

関根:今岡さんは動物飼ったことある?

今岡:飼ったことが無くて、むしろ苦手というか。怖い。街中にいて可愛いなとは思うけど、動物の気持ち分からないから、行動も予測できなくて触れることが苦手。結構動物を飼っている人多いと思うのだけど、人間だと言葉で会話をすればなんとか気持ちをわかり合えるけど、動物とは言葉では会話ができないから、みんなどうやって動物と愛を育んでいっているんだろうと疑問に思うな。

関根:そうか。そうだよね、飼ったことなかったらわからないよね。

鈴木:私は、動物より人間の子どもの方が何考えてるかわからなくて苦手。

関根:すごいわかる。

今岡:え、そうなの?どうして?

関根:動物は何考えているか分からないけど、真摯に向き合えば返してくれるというか真心みたいなもので通じ合えていると個人的に思うけど、子どもは何考えてるか本当にわからない。言っていることとやっていることが、真反対だったりするから怖くて、幼稚園生くらいが苦手だな。

今岡:でも、それは犬とかとは意思疎通ができたぞみたいな体験をしたことがあるってことだよね?

関根:うん。意思疎通、信頼関係が見えるというか。なめられてはいるけれど、まだわかり合えていると感じる。初対面の子どもはもっと苦手。

鈴木:動物は表情の意味がわかるけど、子どもはわからなすぎて、怖いからすごく苦手。どう接していいかわからないというか。今岡さんは、子どもはそんなに苦手じゃない?

今岡:漠然と苦手だという意識はなかったかな。二人は子どもに対して、人間には言葉があるのに、なぜ伝わらないんだというような気持ちがある?

関根:ちょっとあるかも。

鈴木:ある気がする。

今岡:動物と深く関わってこなかった私は、どっちかというと人間の方が好きとしか言えない世界に生きている。言葉を通して、会話をして相手を理解することがずっと多かった。抱っこしたら愛が伝わるみたいな体験したことがないかも。

動物と生きてきた人間と
人間と生きてきた人間の違い

鈴木:今岡さんはちゃんと人間してるな、とめちゃくちゃ思った。ちょっと気になったんだけど、動物と生きてきた派と、人間中心で生きてきた派だと、人間同士のスキンシップとかって違うのかな?

関根:私は人もすごい触っちゃう。イェーイみたいに。これは私の性格もあるだろうけど、話すより先に感情を動きで伝えがちかもしれない。友達にも、仲良いとめちゃめちゃくっつくし、ずっと触っているとか腕を組んでたり自然としちゃう。

鈴木:へぇ~今岡さんはどう?

今岡:関根さんほどではないけれど、手を繋いだり、くっついたりして伝えるときもあるかな。でも言葉にしなくても伝わるかもしれないけど、あえてちゃんと言葉にして伝えたいという気持ちの方が強いと思う。

関根:私は全然言葉で伝えないかも。言葉で伝えるのが恥ずかしいなって思っちゃう。真面目なこととかを改めて伝えようとすると恥ずかしくなって、イェーイっていう行動になっちゃう。

今岡:でも、そのイェーイという行動だけでも、相手にちゃんと気持ちが伝わったと思えているってことだよね?

関根:うん。多分相手もこういうタイプだから。お互いこれで伝わっているだろうなと根拠のない確信がすごくある。

今岡:何か繋がっている?

関根:繋がっている感じがある。

今岡:自分が思っていることが100%適切に伝わったかどうかは、そんなに大切ではないってこと?

鈴木:私ね、いつも、親しい人と付き合っていく時に思ったことを100%伝えると良くないこともあるなっていう風に感じるの。だから言葉でちゃんと伝えようではなくて、ただぼんやり一緒にいる気がする。

関根:私は伝えはする。嫌だなとかここ良くないなと思ったらちゃんと言うけど、でもそれ以外はそんなに伝わっていなくてもいいかなと思う。伝わっていたら嬉しいけど、相手がどう取るかは相手次第だから、100%伝わってなくてもいいかな。

鈴木:逆に言葉で伝えた場合、伝わっているなって思うの?

今岡:なかなか難しいかな。少し前までは相手のことを真摯に考えて、発した言葉ならば伝わると思っていたけど、それでもうまく人間関係が築けなかったり、うまく伝わってなかったことがたくさんあって、すごく悲しくて嫌だなと思うことが多い。最近出会った本のあとがきに「あなたにわかるよと言うことはできない。」っていう一文があってそもそも相手と100%同じ温度でわかり合うことはできないのに、わかるよと言ってきてしまったと、ものすごく衝撃を受けた体験があって。本当に最近だけど、この一文を読んでから、私が発した言葉が全く同じ意味として相手に取られることはないんだなということを、やっとちゃんと理解し始めた感じかな。

鈴木:言葉ってすごく考えるから、その分期待してしまう感じがする。伝わってるよねっていう。

関根:だから、あんまり言葉で伝えないのかも。今まで伝えたのに、伝わってないことにすごくがっかりしたり、悲しいなって思うことがあって。ならこの動きや表情、空気感で伝えた方が伝わってなくてもしょうがないから、あまり傷付かないというか。最近、言葉で伝えることに臆病になっているのかもしれない。

鈴木:あるかも。言葉で伝えて成功した体験よりも、家にいる動物の影響で身体や表情、空気感で伝わっているという成功体験が多いから、もしかしたら言葉というものに重きを置いてないのかもしれない。

それぞれのオンラインの感じ方

今岡:いまオンライン授業を体験しているけれど、コミュニケーションの面で何か今までとの違いは感じている?オンラインに空気はあるのかな?ないのかな?

関根:オンラインになってから、空気を気にしなくていいからあまり疲れなくなった。でも、オンラインを経験して、自分がリアルで会うっていうことにすごく重きを置いてることにも気がついた。リアルはスキンシップが取れるし、良くも悪くも時間や空気を共有できるけど、オンラインは時間は共有できても空気は共有できてないと思う。

鈴木:オンラインは目が合わないよね。

関根:うん、目が合わないから、学校に行っていたときほどは空気感を考えなくなって、すごい気が楽。空気ってすごく感情とか伝わるじゃん。いままでのグループ課題とかもめちゃめちゃ空気が悪くなったりとかを感じていたから、オンラインのこの空気が伝わらないところはすごく気が楽だなって感じる。

今岡:私は反対に、画面越しでも、あまり対面の時とストレスの度合いが変わらないと感じたかな。

鈴木:へ~、そうなんだ。私も圧倒的に楽。対面の空気感みたいなのが苦手というか、疲れるというか。どんなに楽しい場に行っても疲れるものだと思うんだけど。その疲れるエネルギーが、オンラインになって少なくなった気がする。

関根:でもオンラインは声も表情も仕草も伝わってきてるんだけど、温度がないっていうか、生きてる感じがしないっていうか。うーん、一緒に喋っているんだけどね。

今岡:ハグできないしね。

関根:そういうのができないからね。イェーイみたいなスキンシップがオンラインだと難しいから言葉で伝えなきゃいけないじゃん。自分が苦手だからかもしれないけど、オンラインだとあまり情報がスッと入ってこない。

鈴木:動物脳だから今の話も勝手に動物の話に繋げちゃうんだけどさ。私も、画面越しに動物を見た時表情や仕草は見えているはずなのに、やっぱりその場にいないと何を考えているか分かりづらいなと感じるんだよね。だから動物と暮らしてきた関根さんは空気で感情を読み取ることに長けていて、今岡さんは人の表情とか言葉でそういうことを汲み取ることに長けているのかなって思った。

今岡:私がこんなにも人間っぽかったんだってことが、すごい新鮮だった。それに動物は人間の生活に深く共存している関係なんだね。

鈴木:私は言葉で伝える必要性を、あまり感じてこなかった。だから発言するのがすごく苦手で。自分の思っていることをどこまで言ったほうがいいのかとか、言う必要があるのかっていうこととか…。今岡さんは喋るときに考えてる?

今岡:相手や場によって変えたり、あとは言葉遣いをとても気にしている。「何か手伝おうか?」ではなくて「私に何かできることある?」と言おうみたいに自分が言われたら救われる、そんな言葉遣いができないかなといつも考えている。

鈴木:すごい、言葉と寄り添って生きているね。私は言葉で伝える経験が少ないんだと思う。多分今岡さんは、常に言葉をどう伝えようって考えているけど、私はそれをしようとしてこなかったから、なおさら言葉を考えて使う場面が減っていっている感じがする。

今岡:きっと二人はすごく昔から無意識に、言葉で100%は伝えることができないことや、言葉がなくても伝えられることがいっぱいあるってことをわかっていたんだよね、きっと。

関根:気づいてなかったけど、わかっていたと思う。

鈴木:確かに。言葉がなくても生きている動物たちと暮らしてきたから、なんとなくわかってたのかな。

今岡:とても二人の意見に説得力を感じた。言葉を使わないことは考えようとしていないことではなくて、言葉を使わずとも伝わることを本当に信じていることで、私にとって大発見だった。

関根:こういうことも言葉にしないと伝わってなかったから、言葉にするって大事なんだなって改めて思った。こうやって話さなかったら、一生わかり合えない可能性があるわけだし。

鈴木:言葉は、わかり合えることが増えるツールではあるよね。

関根:なくても伝えられると思ってたけど、やっぱ言葉はあったほうがいいな。

鈴木:人間同士はあった方がいいね。

宮本日向子×田中望

デザイン・アート・個性

田中宮本さんの『芸術としてのデザイン』のレポートを読んで、自分も中身じゃなくて表面的なものがデザインだと思ってた部分があると感じた。デザインって中身が見えないから複雑で理解しきれない部分が多いなと思ってて、だから自分には難易度が高すぎるものというか…。

宮本うんうん

田中だけど、デザインって意外ともっと簡単なところから始めれるのかもしれないなって思ったんだ。面白いか面白くないかは別として、デザインは何にでもあるって思うようになったかも。

宮本:確かにデザインって何にでもあるし、視覚的なものだけではないよね。目に見えない部分だとか問題解決的な意味もあるし。そこの部分でのデザインが自分の中で抜けてたのかもって思えた。

田中:うんうん

宮本:でもすごく難しいと思ってて。この前鈴木さんが、作品は過程から含めて全部作品って言ってたけど、鑑賞者からしたらその過程って全て見えるわけではないじゃん。

田中:そうだね。

宮本:見てくれる人はどこまでその過程を汲み取ってくれるんだろうって思うんだよね。やっぱり最終形態として見えるものだけを見て評価されるのかな。

田中:個人的な考えなんだけど、さっきも言ったように、鈴木ゼミではものだけじゃなくて過程をすごく見てくれるのかなって思ってる。考え方を重視して指導してくれるように感じるから、のびのびやりやすいのかなって思う。

宮本:そうだね。

田中:ちょっと話がずれてしまうけど、キャプションって大切なのかなって思うかも。だから、鈴木ゼミでやった写真にタイトルをつけて別のものに見えるようにする「見立てウォーク」に近いのかなって思った。言葉に力があるというか。使い方も大切だけど。

宮本:そうなんだよね。言葉って強いから使い方が大事になってくると思う。展覧会に行って、キャプションがあるかどうかだけですごく作品の見え方が変わってくると思ってて。キャプションって本当に必要なのかって考える時もある。

田中:どうなんだろう。考え方を言葉じゃなくて、制作の途中段階を見せるっていうのもできるし。でもそれだと説明的になっちゃうのかな。どっちがいいとは言い難いね。

宮本:説明が必要なものって美術であって、そういう説明とかがなくても一瞬で意図が伝わるっていうのがデザインなのかも。

田中:デザインは言葉がなくても、ものだけで伝わるってことなのかな。

宮本:そういうことかな。デザインの敗北って言われてる佐藤可士和のセブンイレブンのコーヒーマシンとか、ぱっと見て使い方がわかんないもんね。

田中:やっぱりデザインって幅広いね。

デザインとは
なんだと思うか

宮本:田中くんはデザインとはなんだと思う?デザイン勉強してたらすごい聞かれる質問 じゃん。

田中:えーなんだろう。俺いつも当てないでーって思ってるからなあ。

宮本:去年、デザインプレックス研究所っていう社会人もデザインが学べるとこに行ってて、そこですごい聞かれる質問だったの。やっぱり、そこではデザインって目的を達成するためにあるものみたいな答えが多くて。つまり、ターゲットを絞って商品を売るための手段がデザインがあるみたいな。それがすごく腑に落ちなかったんだよね。美大とは違うなーって。

田中:確かに俺もデザインって売るためのものだけではない気がする。鈴木さんの作品とかを見てたらデザインはもっと幅広くあるって思えたかも。だからそこに宮本さんは違和感を感じたのかもね。

宮本:うんうん。

田中:鈴木さんの作品はユーモアがあると思ってて。オヤジギャグに近い気がするんだよね。

宮本:わかる気がするー!親近感みたいなね。

田中:自分が読んだ『ファンタジア』に「相反するものを補足すること」がデザインだって書いてて。例えば冷たい炎とか白と黒とか。それが鈴木さんの作品からも感じる気がする。だから最近オヤジギャグも言葉を使ったデザインじゃないかなって思ったんだ。

宮本:確かに。面白いねそれ。ていうか、田中くんって面白いね。卒制も順調に進めてそう。モネの「日傘を差す女性」を模写したってレポートに書いてあったね。

田中:でも模写やってみて、この絵の技術はどうなってるんだろうって思ちゃって。その場その場の技術にしか目が行かなかったんだよね。でも、絵の技術を習得したいわけではないと思って速攻で模写やめちゃった。

宮本:そうなんだ。なんで鈴木さんは模写してみたら?って言ったのかな。多分絵の技術 を学んで欲しいからではないよね。

田中:そこの意図がいまいち自分の中で噛み砕けなかったんだけど、描き切ってみたら何か分かることがあるのかな。絵を絵としてしか見てなかったのかもなあ。もっと多角的に見るために模写やってみたらって言われたのかな。

宮本:模写をする過程の中で分かることがあるってことなのかもね。

田中:確かにそうかも、もう一回描いてみる。

宮本:(笑) 田中くんってオンラインのゼミの方が楽しそうだよね。

田中:なんか対面怖いんだよね。ゼミの中でもまだ話したことがない人が多くて。その中で話をしたときに目線が集まるのが苦手なんだよね。でもオンラインだったら自分の家でできるからめちゃくちゃリラックスしてやれてる。

宮本:そうなんだ(笑)じゃあ対面になったら喋らなくなる可能性があるってこと?

田中:ある。全然ある。基本的に内弁慶だから、知り合いと思える仲だったら話せるんだよね。

宮本:え、オンラインで知り合えたじゃん。

田中:えーどうなんだろう。でも対面になった時、意外とこの人こういう一面あったんだ なっていうところが出てきて怖くなっちゃうかも。あ、でも最近ちょっと変わったかな。 話さないと何も伝わんないなあって思えるようになったからかもしれない。

宮本:めっちゃいい変化だね。レポートに書いてあるけど、グループワーク苦手なの?

田中:うん、苦手だね。任せ切ってしまうことがある。制作は手伝うけど、あとはよろしく、みたいな。

宮本:考えることをしないみたいな?

田中:自分が考えたところで否定されるだろうし、あんまり意味ないかなって思ちゃって。

宮本:それなんかあったの?めっちゃがんばったけど否定された実体験みたいな。

田中:実体験は多分ないかな。

宮本:なんとなく見たいな?

田中:うん、なんとなく。実体験か……。俺なんか、高校より前の記憶がほとんどないんだよね。

宮本:嫌な記憶は全部忘れたみたいなこと?

田中:いや、嫌な記憶もいい記憶もほとんどない。宮本さんは覚えてる?

宮本:印象的なことは覚えてる気がする(笑)そういえば、自分の個性は消すべきだと思っていましたとも書いてあるね。

田中:他の人の案を使う前提だと思ってて。だから自分を“手であって人ではない”みたいな。

宮本:それは争いたくないから?

田中:うーん、それもあるのかも。人と喧嘩したくないじゃん。疲れるし。サークルやってたときに、もっとこうした方がいいんじゃないってすごい言ってたんだよ。そしたら女子3人くらいに嫌われちゃって。発言をすることで人間関係がめんどくさくなるんだなって感じて、そこからあんまり言わないようにしてる。

宮本:それは言う事が問題だったのか、言い方が問題だったのか。

田中:言い方だと思う。正論だったらどんなことを言ってもいいよねって思ってた節があって、それを直そうとしたら、何を言っていいのかわかんなくなちゃって。

宮本:でもゼミの中で田中くんが発言することってすごく真実を突いてることを言ってる気がするから、もっと田中くんの考えを聞きたいなって私は思ってるよ。

田中:そう?悪いムードにするの嫌だなって思うと喋んないのが一番だなって思っちゃうんだよね。でも、求められたらちゃんと話すようにしようとしてる。でも、逆に宮本さんは、ちゃんと喋ってくれるし、話も円滑に進めてくれてすごいなって思う。

宮本:全然全然。私も自分の考えを言語化するのは苦手で。でも、人の話を聞いたり話を回したりするのは得意なのかもしれない。

田中:すごいね。MCみたいなことができるんだね。

宮本:いやいや(笑)いっそのこと結婚式の司会者とかになろうかな(笑)

田中:それもいいかもね。

個性のあるデザイナーは
否定されるべきか

田中:ところで、レポートに書いてある「個性のあるデザイナーは否定されるべき」ってどういうこと?俺は、否定されなくていいと思うんだけど。

宮本:どういう目的でデザインがされているっていうのを自分の中であんまり考えれてなかったから、個性のあるデザイナーが存在しているって思っていたことを一回否定しておかないといけないのかなって思って書いたかな。

田中:結果として出たものが個性だと思ったけど、そうではなくて中身をもっと見た方がいいっていう気づきってことか。

宮本:そうそうそう。デザイナーは誰かに頼まれて問題解決するためのものだけど、私はこの人が作る画面かっこいいなとかしか考えてなかったのかな。その画面を作る意図とかを考えられてなかったんだなって思ったし、そこをもっと知るべきだなって思った。

田中:でも、個性のあるデザイナーを否定する必要はないんじゃない?根本は個性じゃないかもしれないけど、出し方は個性があってもいいのかなって今の話を聞いて思った。例えば、遠くまで行けなくて困ってるよって時に、電車を出すのか、車を出すのか、自転車を出すのか、何を出すのか個性が出るところだと思うし。

宮本:うんうん。確かに。私も個性のあるデザイナーを否定したくない。

田中:先天的に個性的なスタイルを持ってるっていうのが矛盾してるだけじゃない?

宮本:あ、そういうことか。じゃあ、表出の仕方とかは個性があってもいいってことか。私の読解力がなさがばれたね(笑)

田中:そんなことないよ。自分もよくわかってるわけじゃないからあってるとも限らないし。

宮本:ムナーリの本は翻訳されてさらに難しくなってそうだよね。英語が得意というわけではないけど、原文を読んでみたいって思った。

田中:わかる、原文と翻訳された文だと言い回しが変わってくことも多いみたいだし原文ちょっと読んでみたいかも。そういえば、確か『芸術としてのデザイン』ってゼミ室に置いてあったから読んでみようかな。

宮本:読んでみて。そしたら解説してほしい。

田中:解説!?俺もそこまで読解力ある方ではないから理解できるかわかんないよ。

宮本:ね、頭入ってこないんだよね。鈴木さんに本の読み方講座してほしい。

田中:そうだね。ファンタジアも文字数が多い方ではないって感じたけど、内容が難しくて全然頭に入ってこなくてびっくりした。

宮本:ムナーリに会いたいよね。ムナーリの授業とか受けたいな。

田中:それいいね。それで、日本語話してほしい。でも日本語で話されても理解できないかもだけど。

宮本:教育とかで、子供に指導とかもしているんだし、優しく教えてくれるんじゃない?でも確かに芸術としてのデザインを読んで、もっと勉強しなきゃって思わされたよね。

田中:うん。自分が想像していたよりもまだまだ足りない部分が多いことを思い知らされたかな。

宮本:ムナーリの本を読んでのレポートを読んで思ったんだけど、田中くんって自分がレベルが低いって書いてたよね。

田中:あー、うん書いたね。

宮本:そういうのって思わない方がよくない? 思ってても言わないほうがいいんじゃない、そういう人だと思われちゃわない?

田中:確かに言わないほうがいいかもね、ただ自分の近くに能力もないし、努力もしないけど才能があります!!みたいな人がいて、そういうのを見てこうはなりたくないって思ったからかも。

宮本:でもわざわざ言わなくてもいいんじゃない?そんなに自分で自分を下げなくてもいい気がする。根拠のない自信も大事なのでは?

田中:確かに根拠のない自信は大事かもね、でも、根拠のない自信を持って何かに取り組んで、ダメだった時が怖いんだよね。ハードルが上がるのが怖いのかも。

宮本:でもレベルが低いって自分で言っちゃうと、周りもそう思って見てしまう。田中くんの話を聞いてて田中くんはしっかりちゃんとした自分の考えがあるように感じるから、そう言われると私も否定された気分になってしまうかも。

田中:ありがとう、頑張ります。確かに自信って大事だなって最近思う。最後の最後に自信がものを言うのかなって思うし。

宮本:やったことないけどやってみますみたいなことも大事じゃない?

田中:それって怖くてなかなか言えなくない?

宮本:でも言っちゃえばやらざるを得なくなるから、やりたかったら言っちゃえばいいと思う。

田中:失敗したらどうしようってならない?

宮本:失敗したら謝ればいいんじゃない?ネガティブなものではなく失敗したって言う経験としては得られるし、挑戦したことで得たものもあるはずだし。やったことないけどやってみますって言うのは大事だと私は思ってる。

田中:確かにそう思えば行動できるようになるかも、吹っ切れたらいけそう。

宮本:吹っ切れたらかなりいい感じになりそうだね。

田中:吹っ切れるように頑張ります。

宮本:吹っ切れた卒業制作楽しみにしてる!

田中:卒制か〜、卒制少しだけ楽しみなんだよね。自分が何作るのか楽しみでワクワクする。

宮本:わかる。楽しみだよね。卒業制作で作品を制作をするのが最後になる人もいるわけだから、だからこそ全力でやりたいって思う。みんなの全力が見れるし、想像以上のものが作れる可能性だってあるしね。

田中:しかも半年って結構長い期間だしね。何を作るかは決まってないけどやっぱり楽しみだよね。

  

prologue

2019/12/09

Just Hold On/田中望

ダンスをシルエットで見ることで、違う視点を得れればいいと思いました

prologue

2019/12/09

 

 

 

ふと かくれんぼ / 荒濱 更紗

 

日常のふとした出来事をのぞく

日常でふと何かを見つけた時、喜びを感じると思います。

その些細な喜びを体験できる冊子です。

 

prologue

2019/12/09

水面/牛河内由樹

水面の魅力である、光を反射してキラキラと輝く波の様子を作品にしました。

prologue

2019/12/09

わたし/今岡朝子

今まで様々なときに出会った12名の方にわたしがどんな人かの手紙を書いてもらい、

「わたし」の一冊を制作しました。

 

この一冊は、わたしが生きてきた形そのものだと感じます。

prologue

2019/12/09

ふ/鈴木伊柔

いつものベランダでの、草と私の距離感です。

prologue

2019/12/09

 

ベニヤの考察 / 高橋彩花

ベニヤ合板のつくられ方に着目し、普段は意識されにくいつくられ方について考えた作品です

prologue

2019/12/09

 


線:study1~11/宮本日向子

 

線は、ルールであり感情であり距離を表すものである。私たちの生活は線で溢れている。

prologue

2019/12/09

ROUTINE/安達芽衣

味気ない毎日も、きらきらとしていますように。
日々のルーティンのチケットを制作しました。

prologue

2019/12/09

よりみち/丸山結衣

話し言葉の道案内の冊子を作成しました。
読み手の方の状況から読み手の方自身が
選択をし、ページを紐解きながら行き先を
読み進める形になっています。

prologue

2019/12/09

茶は服のよきように/関根萌夏

茶道について考える

お茶を点てることの意味、知ろうとしなければ一生触れることのないこの世界に少しでも興味を持ってもらえたら。

prologue

2019/12/09



友達になりたい/岸 奈々佳


Gペンが苦手です。

Gペンの出せる線がとても好きなのに、自分ではうまく扱えず、いつも線が途切れたり引っかかったり。

使う人によって、使い方によって違った線を生み出せる素敵なつけペン。
なかなか仲良くなれないGペンの表情を模索しました。

ゼミ展 「Prologue」

2019/12/08


本展示は、ひとりひとりが自由に一冊のzineをつくることに始まり、その後zineの内容を一冊の本から一番ふさわしい形へ、空間や冊子へ広げることを目指したものです

Prologue
これは、私たち鈴木ゼミ7期生12名の始まりの始まりです